経営」カテゴリーアーカイブ

《マネジメントを考える》

 ニューヨーク市警本部長のブラットンをご存じだろうか?彼は1990年代ニューヨークで数々の改革・改善の実績を上げています。その中から一つの事例を紹介します。

 ブラットンが市警本部長に就任する前のニューヨークの地下鉄は市民にひどく恐れられ『動く下水道』といった異名をとっていました。市民が乗車を避けたため収入は激減し、重罪の発生率もニューヨーク全体の3%だったためニューヨーク交通市警は深刻な事態に目を向けようとしませんでした。ブラットンの前任者たちは、地下鉄の安全性を高めるには各路線に警官を張り付かせ、あらゆる出入り口のパトロールを怠ってはならないとしていました。ただ、限りのある警官数では効果を上げるまでにはいかなかったのです。一般企業でも同じように、業績を高めるためにはそれに見合うだけの経営資源(人・物・金)を増やす必要がある、といった固定観念があります。

 ところがブラットンは、警官を増員しないままで、地下鉄の犯罪、恐怖の体験、混乱などを激減させました。ブラットンの分析によれば、大きな犯罪のほとんどは特定の路線や駅に偏っていることが分かりました。併せて、これら重点領域は防犯上きわめて大きな意味を持つにもかかわらず、充分な警官が配置されておらず、その一方で、いまだかつて犯罪らしい犯罪の通報がなかった路線や駅にも、同じ数の警官が割り当てられていることも判明したのです。解決策は、警官を重点領域に集中配置して、犯罪勢力を圧倒するというものでした。こうして、以前と同じ警官数で、犯罪件数の目覚ましい減少を勝ち取ったのです。

 経営資源を効果的に配分する良い事例だと感じています。

《ブルーオーシャン戦略》

 みなさんは、タイトルの“ブルーオーシャン戦略”という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?チャン・キムとレネ・モボル二ュが十数年前に本にして紹介しました。その本の中では、血みどろの競争が展開するレッドオーシャンに別れを告げ、競争がなく新規需要に満ちた、高成長と高収益につながる市場、すなわち、ブルーオーシャンへと漕ぎ出す方法が紹介されています。

 私が興味深く感じたのは【戦略キャンパス】の描き方です。本書では、アメリカでのワインの販売戦略を例にしていますが、少しご案内してみます。

 従来、アメリカでのワインの位置づけは、高価格の“高級ワイン”と、低価格の“デイリーワイン”が主流で市場を占めていました。そこで、カセラ・ワインズというメーカーが“イエローテイル”というブランドのワインを売り出す際に《戦略キャンパス》によってブルーオーシャンを切り開くことになります。従来のアメリカワインの競争要因は、次の6つになります。➊ワイン造りの極意・謳い文句 ➋マスマーケティング ➌ヴィンテージ ➍伝統・格式 ➎香り・味わい ➏品種 このような6つの要因に対して、高級ワインは全体的に高いポイントで逆にディリーワインは全体的に低いポイントになっています。

 そのようなワイン市場に、イエローテイルは価格要因はデイリーワインより少し高めの設定とし、他の5つの要因すべてにおいてデイリーワインより低い設定としました。そして、イエローテイルは、次の3つの要因を新たに設定し高いポイントになるようにしました。➊飲みやすさ ➋選びやすさ ➌楽しさ・意外性 その結果として高級ワインとディリーワインとの差別化により【ブルーオーシャン市場】が、新たに生まれたのです。

 今日は、戦略キャンパスの考え方について書いてみました。 

《大切なこと》

 陸前高田市から冷たい甘酒のお中元を頂きました。そこに一枚の栞が入っていましたのでご紹介します。

 大切なこと

 みんなが笑っていられること。
 夢中になれるものがあること。
 『ありがとう』が素直に言えること。
 子どもたちがいのちをいただいたことの大切さを知ること。
 お天道様にはかなわないことを体で感じること。
 命あるものを育てるのには、いっぱいの時間と愛情をかけること。

 『いただきます』と手をあわせること。
 家族で食卓を囲むこと。
 心配りができること。
 おじいちゃん、おばあちゃんを大切にすること。
 子どもたちをいっぱいほめてあげること。
 両手いっぱいひろげて、ぎゅっと抱きしめてあげること。
 『どうしてなんだろう?』がいっぱいあって、それが少しずつでもわかるようになること。
 おとなになって『これがわたし』と言えるようになること。

 愛している人たちに、恥ずかしがらずに『愛しているよ』と表現ができること。
 みなさまに『おいしい』と言ってくださる商品をつくりつづけること。
 みなさまが健康でいられること。
 そして、みなさまが幸せであること。

 陸前高田市 株式会社八木澤商店

 

《ペットボトル飲料廃止》

 廃棄物の話題が続きますが、読売新聞の記事から

 生活雑貨『無印良品』を展開する良品計画は、飲料の容器を、ペットボトルからリサイクル率の高いアルミ缶に切り替える。全国の店舗で23日からアルミ缶入りの飲料の発売を始めた。

 ペットボトル入りは在庫がなくなり次第、販売を終了する。廃棄物を減らし、持続可能な社会を目指す取り組みの一環としている。

 変更するのは、500ml入りのお茶類や、350ml入りの炭酸飲料など12種類。切り替えに伴い容量は減る。ペットボトル入りでは500ml入りで税込み100円の『グリーンルイボスティー』は、アルミ缶入りは、375ml入りで90円となる。

 アルミ缶は自治体の回収ルートが確立しており、廃棄されることが少ない。光をさえぎるので賞味期限が長く、売れ残った商品を捨てる食品ロスの削減も期待できる。

 良品計画は、店内に給水器を設置し、水筒やボトルを持参すれば無料で給水できるサービスも行っている。

※CO2対策と廃棄ロス削減に向けてよい取り組みと感じました。 

 

《服一着、浴槽11杯分》

 読売新聞の記事より

 調査は、まだ着ることのできる衣服などが廃棄される『ファッションロス(衣服ロス)』の環境への影響を把握するのが目的で、2020年度に、政府統計の分析や企業、消費者へのアンケートなどの踏まえて推計した。

 国内で1年間に供給される衣服は約35億着で、9500万トンのCO2排出量は『中小国の1国分排出量に匹敵する』(環境省)1着当たりに換算すると約27㎏で、ペットボトル約270本の製造分に相当する。衣服の98%は海外から輸入されており、9500万トンのうち9割は海外で排出されている。

 水環境にも影響を与えている。原材料となる綿栽培などに使われる水消費量は83億立方㍍(1着当たり浴槽11杯分)で、世界の衣服業界全体の9%に当たり、海外の希少な水資源を大量消費している実態が浮き彫りになった。

※食品の廃棄の問題とあわせて衣服にも同じようなことが起きていたのですね。

《セブン・イレブンおにぎり消費期限2倍に》

 読売新聞の記事より

 セブン=イレブン・ジャパンは、おにぎりの消費期限を従来の約18時間から2倍となる1日半程度に延ばす。

 温度管理などを工夫して3月以降、一部の商品から順次進めていく。販売機会を増やし、おにぎりの廃棄量は半分程度に減らせると見込んでいる。

 おにぎりはセブンの主力商品で、品質維持のため保存料を使っていない。一店舗あたり1日平均約200個販売しているが、悪天候時などでは売れ残りが出て、廃棄費用が加盟店の負担になっていた。

 セブンは、消費期限が近づいた商品にポイントがつく『エシカルプロジェクト』を昨年から全国で始めるなど食品ロス削減に力をいれている。

 
※以前弊社のお客様で、コンビニエンスストアーを経営している方がいらしゃいました。時々オーナーが夜食にと消費期限ギリギリのお弁当を両手に抱えて持ってきてくださることがよくありました。残業でお腹を空かせた弊社の職員は喜んでご馳走になった記憶があります。
 食品の廃棄の報道が時々ありますが、とても残念に感じておりましたがセブンの取り組みは喜ばしいことです。他のコンビニエンスも是非積極的に進めて頂きたいものです。

 

 

《トヨタの新卒採用戦略》

【トヨタ大学推薦全廃】・・・読売新聞の記事より

 トヨタ自動車は技術系の大学生・院生の新卒採用について、学校推薦を全廃し、事務系と同様に自由応募に一本化する。トヨタが今月、全国の大学に文書で伝えた。2022年春に卒業・修了予定の理系大学生・院生から対象になる。自動運転の開発や電動車の普及など自動車業界が変革期を迎える中、幅広い人材を採用して競争力を高めたい考えだ。

 今後は自由応募に一本化し、自動車関連以外の技術や知識を持つ学生を広く募集する。自動運転など次世代技術の開発力を強化し、新規事業分野の開拓を進める狙いがあるとみられる。

 トヨタ関係者は『学生から選んでもらえる企業になるための変更だ。多様な人材が不可欠で、社内の意識改革にもつながる』と話す。

※以前『人材、タレントこそ最大の差別化のポイントである』と、コンサルタントの方がおっしゃっていました。タレントとは、才能とか個性という意味だと考えますが、金太郎あめ的な発想では通用しない時代になりました。

《テレワークを考える》

 コロナの影響でテレワークが半ば強制的にスタートしたり、テレワークの設備投資に助成金制度が出来たりしています。

 今回は、テレワークに関する就業者実態調査結果が出ていますので確認してみたいと思います。【NIRA総合研究開発機構発表】

 テレワークを利用している社員では、毎日出勤したいと回答しているのは14%。結果的に86%はテレワークを希望しているということになります。
 内訳としては、
 毎日テレワークでいい・・・・19%
 週に3~4日    ・・・・18%
 半々        ・・・・26%
 週に1~2日    ・・・・23%
 
 以上のような回答になっています。

 テレワークは、緊急時代宣言が出た4月・5月に導入のピークを迎えて、6月には減少や取りやめる企業が少なくないのです。業務の内容にもよると思いますが、テレワークに積極的に取り組む必要性を感じました。

《変えて良いもの、変えてはいけないもの》

 バラク・オバマ前アメリカ大統領の“チェンジ”に代表されるように、2000年に入ってからは変化することに重点が置かれて企業経営等が考えられてきたような気がします。

 倫理法人会に、次のような【易不易】という考え方があります。
『激しく移り変わる世の中で、変えなければならないことは果敢に変えていく。しかし、変えてはならぬものをきちんと見定めて、それを保守しつつ、現実に対処していく。そうした堅固な柔軟性が、物事を成功にみちびき、たくましく生きる基本となる』 

 私が、“難しいなぁ”と感じるのは、【変えてはならぬものを見定めること】です。

 独立開業して31年目に入りましたが、変えてはならぬものは基本的なことのように思います。

 例えば、掃除や挨拶です。弊社では、チェックリスト項目の【挨拶が出来ている】・・・・の評価ポイントは、出社したら自ら上司の前に出向いて、自ら挨拶をすること。退社の際も同様とする。としています。

 最近は、変えてはならぬものがおざなりになっていないかに意識を向けて注意するようにしています。

《基本理念の設定にあたって》

 『実力給と業績年俸制のすすめ』・・・鬼木春夫 著より

 評価項目   評価基準          評価ランク 十分適合 適合 不十分 不適合
1目的性   当社は何のためにあるのか   ランクを評価します
       使命・志は明確か
2倫理性   社会全体といかに調和を保つか ランクを評価します
       明確か
3指針性   広範な現場の業務判断のより  ランクを評価します
       どころとなるか        
4英知性   守っていけば成功できる    ランクを評価します
       知恵が盛り込まれているか
5本望性   心の底の願いが、適切に    ランクを評価します
       表現されているか
6共有性   社員全員が支持できるか    ランクを評価します
       (共感・納得性)
7永遠性   末永く追及の対象として    ランクを評価します
       魅力をもつか
8具体性   観念的・抽象的ではなく    ランクを評価します
       実際に達成できるものか
9独自性   当社の個性や当社らしさ    ランクを評価します
       が伝わるか
10訴求性   訴求力のあるもの、印象に   ランクを評価します
       残るものとなっているか

※以上の評価基準により評価を行い、なお課題がある場合はそれぞれフィードバックして再検討します。