業務案内

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4.経営システム研究室が提供する経営計画の策定

5.行政書士業

『本間家の経営に学ぶ』~第3章 金持ちケンカせず~

《ES経営》

2、外注先・下請企業の社員を幸せにする

二番目は、外注先、いわゆる下請企業の社員とその家族です。つまり、自分の会社の仕事をやってくださっている人々です。それらの人々は、私にいわせると「社外社員」だからです。「制服が違うだけのわが社の社員」なのです。

考えてもみてください。下請けと呼ばれる会社の多くは、3Kとか5Kといわれる仕事や、発注元がやれない・やらない仕事をしてくださっています。

数が少なくてあまり儲けにならない仕事、手間のかかる複雑な形をした商品の生産、納期の短いもの、スピードが速いもの、リスクの大きいもの、危険なもの、そんな仕事をやってくださっているのです。
そのような外注先の企業を、「こっちは発注元で金を払っているんだから、どう扱ってもいい」「仕事を出してやっているんだから、言うことを聞け」と、まるで虫けらのように思っている会社がたくさんあります。

大手企業のなかには、売上高経常利益率が10パーセントだとか20パーセント、あるいは30パーセントという好業績企業が数多くあります。しかし、これら好業績の企業の外注企業、下請企業の業績は総じて依然として厳しく、その利益率は平均して2~3パーセント程度であり、しかも赤字企業比率は70パーセントにも達しています。

好業績にもかかわらず、毎年のように10パーセントとか30パーセントといった大幅なコストダウンを強制する発注会社がまだまだ目につきます。
また、見積もりとは名ばかりで、一方的な指値低単価発注、見積書の利益の欄の記入も認めない発注者も決して少なくありません。

見積書には管理費や利益の欄がありますが、それをいくら書いても消されてしまう…、と嘆いている会社も少なからずあります。「利益率5パーセント」などと書いてもそのまま通らず、「そんなことは内部の生産努力によって創り出すべきだ。だから、これはゼロだ」と言うのだそうです。

こんなことをしていたら、下請企業・外注企業の反発が強まることは目に見えています。反発は一方では発注者離れを加速させ、一方では廃業を加速させるでしょう。それら企業の発注者離れ、廃業で、結果としていちばん困るのは、発注者自身です。だからこそ、下請企業・外注企業を大切にする経営が必要なのです。

片方の利益が10パーセントで、片方の利益が2パーセント前後とか赤字であるというのは、どう見ても健全ではありません。健全でない姿は社会では通じません。
片方が勝って片方が負けたというのは、健全な、正しい組織ではありません。誰かの犠牲のうえに成り立つ組織は正しくないのです。

佐藤幸弘著 『本間家の経営に学ぶ』