業務案内

1.給与体系の改善事業(制度設計)

2.人事考課制度の提案(制度改善)

3.人材と組織の活性化事業(教育研修)

4.経営システム研究室が提供する経営計画の策定

5.行政書士業

 

令和5年度 課題研究
介護現場における人材不足とリテンションマネジメント
~社会福祉法人の人的資源管理施策と離職率減少のためには~

  福島大学大学院 経済学研究科 佐藤 幸弘

【目 次】

V 考 察

2.「積極的な教育訓練」施策

 次に教育訓練施策についてであるが、評価施策と同様に10項目用意した。その中で離職率にマイナスの影響を与えているものとしては、「資格取得の為の支援制度(金銭面)がある。」「職務知識・技術向上の為の研修を実施している。」「キャリアパスと連動させて体系的に研修を実施している。」「人事考課者トレーニングは1年に1回以上研修を実施している」といった、以上4項目であった。

 介護・看護といった専門性の高い職種であり知識・技術の習得は重要なテーマであり、職員の成長欲求を満たすことで高いモチベーションを維持することが出来ると考える。
ただ、若い職員は、短期間で専門的知識と技術を身につけることで転職に結びつくのではないかといった懸念があったが、今回の調査では離職率にはマイナスに作用している。
知識や技術の習得は日常業務に直結していることでもあり、重要であると改めてよく分った。

 キャリアパスの運用については、介護職員等の給与補填を目的とした処遇改善加算制度適用の要件になっていることもあり、導入率も60%である。人事考課者トレーニングの実施については離職率にマイナスの効果があり公正な評価を実現する有効な手段として、管理職にとっては大切な研修であり本来は頻度を高めた方が望ましいと考えるが導入率は31%と低い。職員は公平・公正な評価を望んでいるが、実施できていない点に課題があるのかもしれない。

 資格取得の為の金銭的支援も離職率にマイナスの効果があり、評価施策の昇格・昇進と同様に、金銭的なインセンティブの強さが大きく影響していると考える。 コーチングの研修については、2000年代初頭から実施されるようになった層別研修やテーマ別研修も離職率にプラスの結果になった。

 今回は、人的資源管理の中から「業績本位の評価・報酬」15項目、「教育訓練」10項目の施策を選択し離職率との相関について、社会福祉法人を対象にして質問調査・分析・考察と進めてきた。その結果として、評価施策から3項目、教育訓練施策から4項目が離職率にマイナスの影響を与えていることが確認できた。同時に、賃金体系では社会福祉法人での採用が多い職能給と離職率との間には正の相関があることが分かった。

 逆に、コーチングの研修・階層別研修・テーマ別研修が、離職率にはプラスの効果があるという意外な結果が出た。一言で「コーチング研修」と言っても様々な内容のものが実施されており、研修の具体的な内容や研修対象者等を詳細に調査する必要があったかもしれない。また、本調査のサンプル数が35と少なく、サンプルに偏りが生じていた可能性があり、今回の結果をそのまま一般化することは妥当でない可能性がある。

 今後は、更にサンプル数を増やして調査を実施し、調査結果の精度を高めていきたい。