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《経営理念》

 組織運営では、とても大切な理念について考えてみたいと思います。

 次にご紹介する理念は、宮城県柴田町にある【社会福祉法人常盤福祉会】様の基本理念です。シンプルで私の好きな理念の一つです。

 基本理念・・・・響 存

 ~思 い~
 造語『響存』の『響』とは響きあう互い・・・を意味し、共に生きることを表します。
 社会福祉法人としての使命をともすれば忘れがちになりますが、よい伝統は残しながら、常に時代のニーズを読み取る心の目を失ってはいけません。
 どのような立場においても、物事に挑戦する前向きさと、専門性を生かした利用者本位のサービスを心がけ、笑顔を忘れず礼節を持って今後も歩み続けたいものです。

 5つの行動規範がありますが、
※私は、やさしさ、親切、思いやりの心でサービスを提供しています。

 第一人称・現在形で肯定的な表現をしています。

《備品の管理は大丈夫ですか?》

 新型コロナウイルスの問題は先が見えない状況ですね!

 相変わらず“マスク” “アルコール消毒液”は品不足のようです。入手が厳しい状況下今日のニュースでは、政府が1500万枚を業者から購入して医療機関へ支給するということが報道されていました。医療・介護の現場では相当に困っていることと思います。

 最近はメルカリなどのフリマアプリの存在が、『マスクを持ち帰り、ネットで売却するというトラブル』を発生させています。その後、法規制により出品が規制されていますが、誰もが少額の物品を手軽に換金できる環境になったことが理由の一つでしょう。

 今一つ留意しなければならないことは、【備品管理】の面です。管理が徹底されていないために、備品の私用持ち出しが発生しているとすれば、ゆゆしき問題です。

 『魔が差してしまった』ということがないように、予防の視点からも【ルールを明確に定め】【従業員に周知し】【厳罰で臨む】といった姿勢を意識したいものです。

《24時間営業廃止に賛成》

 読売新聞の投稿   高校生 大橋 愛実・・・神奈川県横須賀市

 近年、働き方改革を推進する企業が増えている。ファミリーレストラン大手も24時間営業を全廃すると発表した。とてもよい取り組みだと思う。

 私は飲食店でアルバイトをしている。24時間営業で、年末年始も開店していたが、客は少なかったようだ。

 24時間営業の廃止は、人手不足の問題にも対応しており、効率的と言える。

 それに加えて、客が完全にセルフで会計を済ませる仕組みも普及させてほしい。そうすれば、従業員が店内の清掃などサービスの質の向上に集中できると思う。企業には働き方改革について、しっかりと考えてみてもらいたい。

※高校生の目線で、とても共感できます。私が学生時代【朝7時~夜11時】まで営業をする“セブンイレブン”が、都内に急速に出店しました。当時としては朝早くから夜遅くまで開店していて、とても便利だと感じました。やがて、24時間営業をするファミリーレストラン“すかいらーく”が、店舗の数を増やしていきました。コーヒー飲み放題だったので、一杯の注文で長時間いた記憶があります。
 当時は【利便性を売る】といった考え方に基づいて事業展開をしていましたが、そろそろ次の段階に進む時期に入った感がします。どのような世の中になっていくのか?ワクワクしながら見守っています。
 

《離職を考える》

 コンビニやファミレスの24時間営業見直しという記事を見ると、人材採用の難しい状況が伝わってきます。振り返れば、私が学生時代“セブンイレブン”や“すかいらーく”が、24時間営業を展開していてとても賑わっていたという記憶があります。私も、時々深夜にお世話になりました。

 テレビで報道される学生のインタビューを聞くと、最近はSNSでの情報交換やコミュニケーションが主流になっていてファミレスをあまり利用しなくなっているようですが、よく利用した私としては時代の変化を感じます。

 話を戻して、人材採用の困難さと人手不足の問題ですが、厚生労働省の『若年者雇用実態調査』によると
※若年正社員が現在の会社から定年前に『転職したいと思っている』割合が27.6%
※性別にみると、男性が24.7%  女性が31.3%となっています。
 実に三分の一弱が転職を意識しているという結果です。

 克服すべき課題は、新規採用と離職防止の2つにあります。若年労働者の労働環境を整備することも大切ですが、【成長欲求感】【他者貢献感】を実感できるような職場環境にすることが急務と思います。

 

《整頓とは》

 『整 頓』とは、いつでも誰でも、必要なモノが必要な時に、すぐに取り出せるようにすることです。トヨタでは、10秒の時間で取り出すことをルールにしているようです。さすがにトヨタは凄いと感じますが、一定の時間を設定することはとても大切です。人は、一定の目安となる時間がないと《早いのか・遅いのか?》の比較が出来ないので、必要なデータを見つけるまで30分以上もかかっているのに平気なのです。

 時間を設定したら、次は『定位置』を決めます。すべての『モノ』の置き場所を決めます。社員がいかに効率的に動けるかという作業動線を考慮し、レイアウトを決めていくのです。

 3番目は、モノの有無と量が見た目でわかる状態にする『定量』です。モノの最大量か最小量を決めておくと、現在の使用状態がすぐにわかるほか、使用後元に戻されやすいという利点もあります。

 4番目は、決めた方向にモノの向きを一定にする『定方向』を行います。たとえば、マーカーも向きを一定にそろえるのです。向きをそろえると気分もよくなります。

 モノ探しの時間設定・定位置・定量・定方向を案内しました。些細なことですが、試してみると効果が期待できます。

 

《3Sによるムダの減少》

 3S活動というのは、皆さんご存知のように【整理】【整頓】【清掃】を徹底することです。これに【清潔】【躾】をプラスして5S活動として実践している会社もたくさんあります。

 最近弊社では、医療・福祉法人向けに3S活動の提案と実践に挑戦しています。目的としていることは、3Sの中の【整頓】を徹底することで《もの探しのムダ》を減少することにあります。仮に100人職員がいる組織で、職員一人が1日5分《もの探しの》ムダ時間があるとすれば、次のような仮説をたてることができます。

 5分✕22日✕100名✕12ヵ月=2200時間(年間ロス時間)
 2200時間✕1500円=330万円(年間ロス金額)・・・時給1500円で計算

 コクヨの調査によると、平均一人20分を《もの探し》に使っているそうです。この計算の4倍です。100人規模の組織で年間1320万円のロスで、およそ4人分の労働力を無駄にしていることになります。見逃しがちな小さなことの積み重ねが大きなものになります。

 業務改善の一環として取り組んで頂きますが、《もの探しのムダ》に絞って提案を出してもらいますから、効果は大です。多少ノルマ的に改善提案を出してもらいますが、この目的は《日々考えながら業務に励んでもらう》ことにあります。

『自ら考え、自ら行動できる』ことが組織活動には重要なことだと思います。

《エン・ジャパンの調査データ》

 現在、政府は【副業・兼業】を推進しようとしていますが、エン・ジャパンが興味深いアンケート結果を公表していますのでご案内します。

【アンケートの結果内容】
 副業については、41%が希望している。(希望している・・・18%  どちらかと言えば希望している・・・23%)
 
 興味深いことは、仕事の満足度によって差が出ていることです。
 仕事の満足度が高い人・・・・・副業希望者・・・53%
 仕事の満足度の低い人・・・・・副業希望者・・・37%

 仮に、仕事への満足度が高い人が良い仕事をしているとすれば、会社として【副業を認める方向】で考えることは、組織戦略上大切なことかもしれません。 

 

《クレーム・一考》

 出口治明(大学学長)のコメント

 日本には『お客様は神様です』という間違った思想が根強いと思います。『お客様第一主義』といえは聞こえはいいのですが、ともすれば客の言うことさえ聞けばいい、という事なかれ主義につながります。

 硬い言い方をすると、物を買う行為は対等な人間同士の売買契約です。客が対応が悪いと主張して、従業員に土下座をさせるような行為が対等な関係とは到底思えません。客も従業員も同じ市民なのです。

 これは当たり前のことですから、職場内でも上司に堂々とあなたの意見を言えばいいのではないでしょうか。同じ気持ちを持つ同僚もきっといるでしょうから、仲間と一緒に改善を訴える方法もありますね。

 最後にクレームの価値についてです。客が欲求不満をぶつけている面がないわけではありませんが、店側が気がつかないことを指摘されて、仕事の改善につながることもあります。

 一般に多くの企業がクレームを大切に扱っているのは、もっといい仕事をするきっかけになるからで、僕自身も会社を経営している時、『どんなささいなクレームでもトップまで上げろ』と指示していました。クレームにはそういう利点があることは心に留めておいてください。

《介護の現場に3S活動を》

 読売新聞の記事に《トヨタ方式で業務改善》がありました。介護の現場での取り組みでしたが、とても興味深く読みました。

 医療・福祉の経営・人事のコンサルを2000年からスタートして、多くの現場を見てきました。そして、強く感じることは【業務改善能力】が低いことです。多くの法人が、業務改善を事業目標の一つに掲げていて積極的に取り組んではいるのですが、今一つの成果と言わざるを得ません。

 新聞の記事では、業務改善の具体的な方法を次のように紹介しています。

 介護職員の小川さんは、食事の準備の様子を動画で撮影してもらい、先輩職員の動画と見比べてみた。台所を行ったり来たり、冷蔵庫を何度も開けるなど『無駄な動きが多いなあ』と気づかされた。

 また、整理整頓も重要だ。備品庫も、まず不要品を捨てた。トイレットペーハーや洗剤などを棚の決まった位置に並べて、必要個数を書いたラベルを貼り、不足分が一目で分かるようにした。補充は業者にまかせることで、発注の手間を省いた。

 ベンチマーキングの手法と、定位置管理・定量管理を見える化しています。それと同時に作業標準マニュアルを作成して、職員一人当たり14分の業務時間短縮を実現したそうです。職員数にもよりますが、年間数千時間の業務改善になり、金額に換算すると千万単位のコストダウンになります。

 人手出不足の時代です。見習いたいものです。

 

《業務改善の視点を数値で》

 働き方改革の影響か、業務改善に取り組む組織が増えてきているように感じます。業務改善によってコストダウンが実現出来たり生産性が向上したりと様々な効果が期待できます。

 その際にとの位の金額のコストダウンだったのか、生産性は何%程度アップしたのか数値化することがとても重要です。

 例えば、3Sの《整頓目標》を、必要な材料・備品・データなどを15秒で見つけることが出来るようにする、とします。その成果を数値では次のように表現することになります。

《タイムイズマネー》
 社員一人1日5分の節約 ✖ 1ケ月22日 ✖ 社員数100名 ✖ 1年間12ケ月 = 年間3200時間の節約
 3200時間 ✖ 一人時間単価1500円 = 年間330万円の節約となります。

 自分たちの実行したことの結果を《見える化》することは、社員のモチベーションにも良い影響を与えることになります。

 業務改善に限ったことではありませんが、自分たちの行動を数値に置き換えて考えてみるようにして下さい。