《ご褒美方式》

 “学力の経済学”・・・中室牧子著より

 『テストで良い点を取ればご褒美』それとも『本を読んだらご褒美』では、どちらが効果的?
二つの方法のうち、子どもの学力を上げる効果を持つのはどちらでしょうか?

 ハーバード大学のフライヤー教授の研究では、次のように説明しています。
 インプット、いわゆる子どもたちが本を読んだり宿題をした時にご褒美を与えることで行動を喚起することは出来るでしょうが、必ずしも成績が良くなるとは限りません。
 一方、アウトプット(良い点数)にご褒美を与えることは、より直接的に成績を良くすることを目標にしているのですから、直感的にはアウトプット(良い点数)にご褒美を与えるほうがうまくいきそうに思えます。
 しかし、結果は逆でした。学力テストの結果が良くなったのは、インプット(本を読む)にご褒美を与えられた子どもたちでした。どちらもやる気を見せたにもかかわらず、アウトプット(良い点数)にご褒美を与えられた子どもたちは、意外にも全く改善しませんでした。
 鍵は、子どもたちが『ご褒美』にどう反応し、行動したかということにありました。インプットにご褒美が与えられた場合、子どもたちにとって何をすべきかは明確です。一方『アウトプット』にご褒美が与えられた場合、何をすべきか具体的な方法は示されていません。彼ら自身にどうすれば学力を上げられるかが分からないのです。
 ここから得られる重要な教訓は、ご褒美はアウトプット(良い点数)ではなく、インプット(本を読む)に対して与えるべきだということです。

※統計学の先生からご紹介して頂いた本からでした。