『コミュニケーションスキル』から『ミラーリング』

 今日は、『ミラーリング』というスキルについて書いてみたいと思います。
 私はコミュニケーションの社内研修のとき、二人1組になってもらい上司役・部下役を決めて頂き、まずは『上司役』の方は『部下役』の方の『話』をしっかり聞いてみてください、といったワークから入ることがあります。テーマも決めないでいきなり始めますので、受講生の方々は戸惑いの様子で参加してくださいますが、なんだか、

ギクシャクした感じでお互いに居心地悪そうにしています。
 上手くいかないので、『上司役』の方に『アイコンタクトを取りながら、時々うなづきながら聞いてみてください』とお願いします。ちょっとしたスキルを使うことで、『部下役』の方もスムースに話している様子が見て取れます。
 次に、もう一つ『上司役』の方に次のようなお願いをします。『部下役』の方の『しぐさ』をさりげなく真似してみてください、と。
 受講生の方によっては、照れがあるのか?上手く真似が出来ない方もいらっしゃいますが、大半の方々は忠実に真似をされます。中にはとても大胆に真似をされている方もいて、思わず可笑しくて吹き出しそうになることもあります。
 『部下役』の方は、実に気持ちよさそうに話をされているのが印象的です。ワークが終了した後に、『部下役』の方に『相手がなにをしていたか、気付きましたか?』とお聞きしますが、ほとんど気付く方はいません。あんなに大胆に真似をされた方ですら。
 このスキルが、今日のテーマ『ミラーリング』です。相手が腕組をしたら、こちらも少し遅れて腕を組む。相手がコーヒーに手をつけたら、こちらも飲むといったように、相手の『しぐさ』を真似るということです。

 『ミラーリング』のこんな事例が、本に掲載されていましたので紹介してみます。
 先日、私はニューヨークにいた。のんびりしたかったので、セントラルパークまで歩いて行った。ベンチに腰をおろしてあたりを眺めていると、反対側のベンチに座っている一人の男性が目にとまった。
 そこで私は彼の『ミラーリングを』始めた(一度クセになると、なかなかやめられない)忠実に彼の模倣をした。
 座り方、呼吸のしかた、足の動かし方もすべて同じにした。そのうち小鳥にパンくずをやりだしたので、私も小鳥にパンくずをやった。彼が頭を前後に振ったので、私も頭を少し振った。彼が目を上げたので、私も目を上げ、彼が私を見たので、私も彼を見た。
 ほどなくして、その人は私のほうに歩いてきた。当然のことだ。彼は、私に引き寄せられたのだ。なぜなら、彼は私が自分とよく似ていると思ったからだ。二人で話し始め、その間も私は彼の声の調子や言葉づかいを正確に模倣した。しばらくすると、その人はこう言った。『あなたがとても知的な方だということがよくわかります』
 そんなことが何故わかるのか。それは私が自分と似ていると思ったからだ。そのうちに彼は、25年来の知己よりも私のことをよく知っているような気がすると言い始め、間もなくして、私に一緒に仕事をしないかと持ちかけてきた。