《リーダー像》

 いま求められるリーダー像とはいかなるものでしょうか?
 アメリカの行動心理学者リチャード・ファースンによれば『グループの力を引き出すこと』というのが、もっとも正しい見方だと思います。日本でも同様に『一人ひとりが優秀なだけではダメだ。チーム力、チームシナジーを出さないと』と言われて久しい。ファースンは、具体的な形について『リーダーシップは集団の成員の間に分散されており、各成員が、仕事の達人、道化役、母親的役割など、それぞれ重要な役割をかわるがわるに果たすのである』と表現している。
 つまり、これからのリーダーとは、持ち回りの学級委員のようなものだと考えた方がいいかもしれない。上司とは組織を維持し、部下たちの能力を引き出す役目なのです。こういう観点から考えないと、よい上司にはなれないのです。
 では、こういうリーダー役を果たすには、どんな上司になればいいのか。最初にやるのはチームを壊さないようにすることです。次にチームを活性化する。さらに各自のもつ能力を十分に発揮させるようにすることです。
 その具体的な手法は、おそらくチームの数だけあるのだと思います。見習うべき、確実なモデルというものはなく、ただ、どんなチームリーダーにも必要な能力は、部下から信頼されることだと考えます。
 上司になるための準備とは、あなたが職場で信頼される人間になること。そこから始める必要があるのだと思います。