月別アーカイブ: 2014年11月

《キャリアパス一考》

 等級制度と並行してキャリアパスの導入を検討する企業・法人が増えてきましたが、“ローテーションルール”の視点からポイントを考えてみたいと思います。

【ローテーションルールの大枠】
① 業務上の二―ズ及び各人の能力、適正に応じた配置を通じて能力開発のためにローテーションをルール化する。
② 各職位については、入社後十年間において原則として三つ以上の異なった職務を経験するように異動をおこなう。一つの職務の在職年数は、三~六年をめどとする(事業所間または部門異動はこれに含める)。ただし、専門性強化の視点から例外はありうる。
③ ある特定の職位については、入社後十年間において原則として二つ以上の職務を経験するように異動をおこなう。一つの職務の在職年数は、三~六年をめどとする(係間、課間、部間、事務所間異動はこれに含める)。
④ その他の職種、および各職位の②、③以外の人については、①の視点に立った個別の異動をする。

 担当職⇒監督指導職⇒管理職という職分異動のプロセスでどのような職務を経験させるかといった視点は、人事戦略上重要なポイントだと考えます。

 職位・・・役職のランク
 職種・・・業務の名称 (営業・事務・製造等)
 職務・・・担当業務
 

《昇格管理について》

 人事管理のなかで昇格は重要な役割を担っていますし、社員も関心が高い処遇のルールだと考えています。何故ならば、昇格するか否かで社内でのステイタスや賃金も違ってくるからです。早く昇格したいと思うのは自然であり、この制度はそれを狙っているわけです。

 そこで、一般的に昇格には“卒業方式”と“入学方式”とがあるといわれています。

 卒業方式は、現在格付けされている等級での職務・役割が充分遂行できると判定されたならば、上位の等級での職務・役割も遂行できるであろうということで昇格させる方法です。

 いっぽう、入学方式は、現在の仕事が十分出来た場合、上の仕事の一部を担当させて上の仕事を遂行する能力があるか否かを判定して、できると認定したら昇格させる方法です。

 下位等級は現在の仕事が出来れば、次の仕事のレベルも遂行できるであろうとの考え方で、昇格させる“卒業方式”で昇格させてもそれほど問題は無い場合が多いですが、上位等級では、求められる職務・役割レベルがまったく異なってくるため、仕事を実際に与えてみて、遂行できるか否かを十分検討して昇格させる“入学方式”をとるべきです。とくに、一般職から監督職階層への昇格、監督職から管理職階層への昇格は、求められる職務・役割が大きく異なるため、卒業方式での昇格には問題があるということになります。

《歴史上の人物に学ぶリーダーシップ Ⅱ》

 前回に続き今日は『豊臣秀吉』について考えてみたいと思います。

 秀吉は『先見の明をもった人物』でした。秀吉は、世に広く知られているように、日本史上で一番の出世を果たした人です。百姓の身分から足軽を経て、最後には見事に太閤と呼ばれる身分にまでなったのです。彼を、天下を取る地位まで引き上げた、彼の見つけた活路とは何だったのでしょうか。

 秀吉が活路を見いだしたのは、信長の下級家臣であった時のことになります。対朝倉と対浅井の戦いで、信長が京に逃げ帰る際にシンガリを名乗り出たことこそが、その後を決める活路だったのです。シンガリとは、戦いで敗走する時戦場に居残り、玉砕し残りの兵を逃がす役割をする一隊をいいます。別の言い方をすれば、決死隊です。味方の武将が逃げおおせるまで、時間稼ぎのために身体を張って敵と戦い続ける役目です。ほとんどの場合が全員死ぬのです。

 秀吉は、決死の覚悟の上で、このシンガリをやり通した暁にあるメリットに着目したのです。
①用心深い信長ですら自分を信用するようになるであろう
②秀吉の出現を面白くないと思っている古参の家臣たちにも恩をきせることができる
 と考えたことでしょう。

 秀吉は、味方を逃がす時鉄砲を置いていかせ、兵が攻め込んできた時、いっせいに鉄砲をうちました。こんなシンガリに会ったことのない浅井・朝倉はド肝を抜かれ、何か策略があると疑い、逃げてしまいました。

 この役目を見事にやり通したからこそ、その後の秀吉の出世話は広く世に知られることになるのです。

《歴史上の人物に学ぶリーダーシップ》

最近のテレビで、小栗旬演じる『織田信長』と竹中直人の『豊臣秀吉』を見ながら現代のリーダーシップ論で学ぶべきことがたくさんあることに気がつきました。

まずは、『織田信長』です。

信長の祖父は、家老という家柄で初めて町人の娘と結婚しました。当時はまったくそのような例はなかったといってよい時代です。そして、その結婚により、莫大な財産を手に入れることができました。財を持つことによって、時の朝廷への寄付ができ、斎藤道三との合戦に負けた時にでも動じない財力を持っていられたのです。つまらないしきたりにこだわることなく、実利をとった結婚をしたことが天下取りのそもそもの始まりであったといえます。

しかし、当時の織田家は他家と比べたら、その財も兵力もまだまだ小さいものでした。

そのような家に生まれ育った信長ですが、父親同様、いやそれ以上の新しもの好き、変わりものでした。風変わりな髪形を考えつき、将でありながらも屋敷にじっとせず、毎日城下を馬で駆け回っていました。しかし、彼が変わり者・乱暴者と呼ばれながらも領内を駆け回っていたのも、どこで、どのようにして戦えば勝てるかの『戦略』を見いだすためであったと考えられます。

今川軍との有名な戦い『桶狭間の戦い』では、今川軍の進軍が桶狭間という狭い道で一列にならざることを戦略的に察知し計画通りに攻め倒しました。

そして、この戦いで彼が評価を与えた者の順位というのも非常に興味深いものでした。その順位は、①作戦を企てた者 ②最初に突っ込んで行った者 ③首を取った者。

当時の常識では、なにはともあれ敵軍の大将の首を討ち取った者が一番の功労者あるという時代でした。その常識にとらわれることなく、多分、世界で初めて戦略に対して評価を与えた人であろうと思います。

《消費税と介護業界》

 消費税の増税が1年半先送りされることが発表されました。4月に消費税が8%になってマスコミの報道にもあるように、住宅や自動車などの駆け込み需要が瞬間的にありましたが、全般的には消費は落ち気味という結果になっています。

 消費税の増税分の一部は介護業界に予算をつける計画でしたので、財源が不足しますので介護報酬に大きな影響が出ることが予想されます。来年度の報酬改定では『ディサービス』への報酬がダウンするようです。以前はドル箱と言われていたディサービス部門は、事業者の増加による競争激化で利用率の低下とダブルのダメージを受けることになります。

 厚生労働省は、施設から在宅での看取りを狙って介護報酬や診療報酬の制度設計をしていることが最近の流れで読み取れますが、個人的には在宅での介護は、『老老介護問題』として取り上げられているように大変厳しいものがあるように感じています。

 今後、人件費コントロールも含めた人事管理が経営者に求められています。管理者から経営者に変わらなければならない時期になりました。

《牛丼業界は?》

 学生時代にゼミの課外研修で“牛丼の吉野家”さんのコンピュータールームを見学して早40年が経過しました。当時は吉野家さんも飛ぶ鳥を落とす勢いで、私もお腹をすかせてはお店に飛び込み腹を満たしていました。感謝です。
 
 見学したコンピュータールームは、今のパソコン一台分にも相当しないレベルのものを一定の温度で空調を管理して、電算機が広いスペースを占領していました。私の記憶では、全国に点在している各店舗の売り上げを本部で電算機によって集中管理しているということだったようにおもいます。

 当時の牛丼一杯の値段より40年経った現在のほうが安いです。まったく驚きですが、今期の牛丼大手3社の中間決算が発表されていましたので見てみたいと思います。

      すき家  吉野家  松屋 (単位 億円)
 売上高   2515 889 397
 
 営業利益   11 17 6

優良な企業の営業利益率を仮に3%とした場合に、2500億の3%は75億円になります。アルバイトの時給が1000円以上に達し、牛肉の市場価格は1年前に比べて1.4~2倍に達しているといいます。厳しい経営を強いられていますね。 

《お泊りディサービス》

 弊社のお客様には【特別養護老人ホーム】や【老人保健施設】がありますが、特養への入所は特に難しいというのが実情です。入所を待っている待機者の数は、定員の二倍・三倍というのがあたりまえの状況です。
 高齢者施設が以上のような中で【お泊りディ】の利用に最近注目が集まっています。

※1年超連泊者も  読売新聞の記事より

 日帰りが原則の通所介護事業所(ディサービス)で、宿泊サービスも行う『お泊りディ』が急増している。全国で約3900ヶ所あるとみられ、東京都内では402ヶ所と4年前と比較すると2倍以上になった。
 背景には、暮らしの場が見つからない認知症高齢者らの増加がある。厚生省によると、特養への入所待ちは52万人。過去4年で10万人増えた。同居家族が介護する世帯の半数は老老介護。低所得世帯も増え、こうしたサービスに頼らざるを得ない状況がある。
 お泊りディは一泊2食で2千円前後と安価なところが多く、急な依頼にも応じる使い勝手の良さが売りだが、宿泊は介護保険の対象外で、行政の目が届きにくい。1年以上の長期連泊者もおり、事実上の住まいとなっている。男女の区別なく雑魚寝させている施設もある。
 お泊りディに対する規制を強める自治体は増えているが、規制だけで長期宿泊が解消されるかは不透明だ。
 『連泊数を制限しても、自宅には戻れない。単に規制するだけでは、行き場のないお年寄りの居場所がなくなってしまう。一番困るのは本人と家族だ』宿泊ディの管理者の女性(60)は割り切れない思いでいる。

《限定正社員制》

 賃金総研グループ月例研究会で《総合職・一般職》という複線型人事制度についての説明を受けてから、早いもので二十年程が過ぎました。最近は《限定社員》といった表現でマスコミも取り上げています。
 
 今日は、読売新聞の記事からご紹介します。
※“限定正社員制” 働き方多様

 地域や時間、仕事内容を限定して働く『限定正社員』制度を導入する企業が増えている。育児や介護など制約を抱える人たちの選択肢にもなり、限定正社員のまま管理職になるケースも出てきた。国も普及したい考えだ。

※転勤を伴わず
 大手インキメーカー『DIC』千葉工場で働く桑名恵美さん(47)は、2012年に知的財産部の担当課長になった。
 二人の娘がいる桑名さんは、勤務地を自宅からの通勤圏内に限定する『地域限定』の正社員として働いている。これまで同社では転居を伴う転勤を承諾することが課長昇格の条件だったため、主任のまま『課長に近い仕事をする』状態が続いていた。
 しかし12年に制度が変わり、課長級も『地域限定』で働けるようになった。転居が無い分給与面では資格給の一部が減額になる。桑名さんは『後進のためにも道を創っておきたい。転居を伴う転勤を経験しなくても十分管理職は務まる』と話す。
 現在、地域限定で働く課長は8人。うち5人が女性だ。『男女を問わず、社員のニーズは多様化しており、画一的な対応では優秀な人材を生かし切れない』と同社担当者は説明する。
 一般的に、正社員とは①無期雇用②直接雇用③フルタイム勤務 の条件を満たした労働者を指す。
 これに対し、限定正社員は勤務地や仕事内容、働く時間が限定されているものの、正社員と同じく無期雇用の労働者を指す。勤務地などが限定されている分、給与が低く、昇格昇進にも上限がある場合が多い。
 限定正社員を導入する企業は増えており、DICのように管理職への道を開く企業もある。

《動機づけの段階》

 最近ずっと考え続けている《動機づけ》について、私なりに簡単に整理してみました。

第1段階の動機づけ
 恐怖・強制・指示・命令・規則等による動機づけ
 言語的には(~~しなければならない)といった動機づけです。
 やらないとペナルティーが待っているので行動します。

第2段階の動機づけ
 報酬・褒章・表彰等外部刺激による外発的動機づけ
 賃金などはこの分類になるのでしょう。
 マズローの欲求5段階説の1~4段階
 与え続けることが必要になります。

第3段階の動機づけ
 目標達成動機
 人はテレオロジカル(目的志向)な生きものです。
 設定した目標を達成しようと行動します。
 出来ればチャレンジングな目標が望ましい。

第4段階の動機づけ
 自己実現動機
 言語的には(~~したい)といった動機付けです。
 自分が実現したいことなのでエネルギーも強力です。

 さて、あなたの組織ではどのような《動機づけ》を使っていますか!