《組織とシナジー効果》

 組織のひとり一人の違いや個性から、チームシナジー・イノベーションが起きることについて“7つの習慣”から紹介します。

 違いを尊重することがシナジーの本質である。人間はひとり一人、知的、感情的、心理的にも違っている。そして違いを尊重できるようになるためには、誰もが世の中をあるがままに見ているのではなく、『自分のあるがまま』を見ているのだということに気づかなくてはならない。
 
 もし私が世の中をあるがままに見ていると思い込んでいたら、自分との違いを尊重しようと思うだろうか。『間違っている人』の話など聴くだけムダだと切り捨ててしまうだろう。『私は客観的だ、世の中をあるがままに見ている』というのが私のパラダイムなのだ。『他の人間は皆些細な事にとらわれているけれども、私はもっと広い視野で世の中を見渡している。私は立派な視野を持っている。だから私は上に立つ者としてふさわしい人間なのだ』と自負しているのである。
 
 私がそのようなパラダイムをもっていたら、他者と効果的に協力し合う相互扶助の関係は築けない。それどころか、自立した人間になることさえおぼつかないだろう。自分の思い込みで勝手に条件付けしたパラダイムに縛られているからである。
 
 本当の意味で効果的に人生を生きられる人は、自分のものの見方には限界があるということを認められる謙虚さを持ち、心と知性の交流によって得られる豊かな資源を大切にする。そういう人が個々の人の違いを尊重できるのは、自分とは違うものを持つ他者と接することで、自分の知識が深まり、現実をもっと正確に理解できるようになるとわかっているからなのである。自分の経験したことしか手元になければ、データ不足であることは明らかである。