《いろんな観点から見抜く》

【「良いものとはどういうものか」を間違わない】

評価というのは、良し悪しを指摘することです。つまり、良し悪しがわかっていなければ評価はできません。良し悪しを見抜く力、これが「眼力(がんりき)」です。
では「眼力」とは何を指すのか?まず第一に「良いものとは何か(どのような状態なのか)がわかっていること」、しかも「その良いものの中での優劣(ゆうれつ)がわかっていること」です。
そもそも、どういうものが良いものなのかを間違えていますと、すべてが狂ってしまいます。教える気力もあり、いろいろな方法論も知っている。しかしめざすべき“良いもの”の観点が狂っていると、部下を育てて導くことは不可能です。
良いものを見間違わないために、教える側は、たくさんの良いものに触れていなければいけません。現在直面している仕事の成功例や、その仕事において「できる人」とはどんな人なのかを知っている。これが重要なのです。

【単なる「ダメだし」ではなく、良くなったイメージを伝える】

といっても、悪いところを直接指摘して伸びる人、それでやる気を出すという人は、実際のところほとんどいません。ですから、いちばん悪いところを指摘するときは、褒めるのと抱き合わせて言うのがコツです。全体的には、褒めている口調の中で言うのです。「ここをもうちょっとこうしてくれるといいんだけどな」という形で言うと、相手も受け止めやすいものです。
簡単に言えば、「これがダメなんだ」ではなく「こうしてほしい」「こうなってほしい」という願望を伝えるのです。「ここがダメだ」と指摘するだけでは、言われたほうはシュンとなるのがふつうです。だから、次のイメージを伝える。良くなった状態を伝える。相手の持つものの中で、良いところを取り挙げて、ここを増やしてくれ、と言う。10あるうちの1ができていたら、その部分を5まで増やしてくれ、5になったら、また別のところも5に増やしてくれと、相手の持つものを評価する。ないものねだりは厳しいですから。
しかし、現実問題として、私は「タフな人を雇う」というのがポイントだと思っています。人の意見を素直に聞き入れることができる人を雇ってほしいものです。