《マイナス預金という考え方》

 森繁久彌コレクションという本を読み終わりました。大正二年生まれの著者の激動の人生を書かれた本ですが、楽しく、また感動しながら読みました。

 この本の解説に【マイナス預金】という考え方が紹介されています。

 次に引用してみましょう。
 しからば、この森繁久彌の『自伝』をどのような観点から読むべきなのだろうか?『マイナス預金』という視点に立って読むことをお勧めしたい。
 人生にはあきらかにプラスになるような経験もあれば、その反対にマイナスにしか思えないような経験もある。私はこれらを『プラス預金』と『マイナス預金』と呼んでいる。とりわけ重要なのは『マイナス預金』だ。
 なぜなら、『マイナス預金』というのは、人生のある時期に劇的な転換がおきること、絶対値はそのままにマイナスが一気にプラスに転ずるという奇跡をなすオセロゲーム的預金だからだ。
 森繁の『自伝』は、この『マイナス預金』の蓄積過程ととして読むことが出来る。

 確かに読み終わって記憶に残っていることは、戦時下満州での経験と戦後満州からの引き揚げの場面です。大変ご苦労した経験『マイナス預金』です。それが、戦後森繁久彌の役者人生にプラスになっているということが実感できます。

 今つらい現状に向き合っているとしても『マイナス預金』を積み立てているのだ!と、捉えることができれは人生を強く・たくましく生きていくことができると気づきました。