《適度な課題を》

 ポイントは、学校や塾で課題を吟味して出してもらうことであろう。本人の能力に合わせ「わかる問題」を七~八割、残りを「努力が必要な問題」に配分する。
 どうせできないから、と全部優しい問題にしたり、逆に本人の能力以上の難しい問題ばかりを並べないことだ。前者だと「自分はバカだと思われている」と考えて、後者だと問題が解けないのは「自分がバカだから」と思い込み、いずれにしても無気力になる。
 また正答が得られないときには「もうひと頑張りだったね」と、本人の「能力」でなく「努力」に原因帰属をする。能力に比べ努力は自分の力で変えやすいため、「頑張ってみる」と再挑戦に意欲を燃やしやすい。
 また人間は興味や関心のあることに「何だろう?」と目を輝かせる。探究反射を基に学習を組み立て、それも相手の能力に合わせ適度な課題を選んで与える。満腹時には食欲がわかないように、課題が多すぎると意欲が減退してしまう。
 このように、学習効果を上げるには、しつけや励ましよりもスモールステップを組み、少しの努力で結果が手に入るようにしたい。成就感が次への何よりの動機づけになるからだ。
 ノックの名手は手を伸ばして捕れるかどうか、ギリギリの位置にボールを打ち続けるそうだ。すると選手は必至で球を追い、捕球回数が増えるにつれ、さらに頑張るという。