《気持ちと事実をセットで》

ここからは話を聞くための質問に移っていきましょう。どんな小手先を使えば、いい質問ができるのか。

質問の基本は「詳しく訊く」に尽きます。「もうちょっと詳しく教えて」がベーシックな小手先。ひとまずはそのように尋ねてみるといいのですが、もう少し工夫することもできます。

相手が気持ちを話しているとき、「具体的に何が起きたの?」と事実を聞く。

「 彼氏とのあいだでひどいことがあって、すごい疲れた」とか「上司との関係がつらい」と言われても、よくわからないじゃないですか?だから、「何があったの?」と尋ねて、具体的なエピソードを話してもらうと良い。

逆に、相手が事実だけを話しているときは気持ちを聞きましょう。「友だちと遊びに行ったら、遅れて2時間も待ったよ」と言われると、つい「ひどい!」と言いたくなるけど、そこは5秒我慢してください。そのうえで「どう思ったの?」って聞いてみる。

もしかしたら「すごい豊かな時間だった」と彼は語りはじめるかもしれません。そうすると、今まで知らなかった彼の心が見えてきます。

事実と気持ちがセットで語られるとき、心は伝わってきます。だけど、普段の僕らは事実と気持ちのどちらかだけを話すようにしているものです。相手に心が伝わらないようにしているんですね。

それはそれで、悪くはない。

日々のコミュニケーションは、相手に心が伝わらないようにしておいたほうが安全ですから。でもね、あなたがせっかく話を聞こうとするのなら、両方がセットになるように聞いてみましょう。

気持ちを語っていたら事実を尋ねる。事実を語っていたら気持ちを尋ねる。これが質問のための小手先。