月別アーカイブ: 2019年7月

《達成感という動機付け》

 人を動機づけるために様々な手法がありますが、ちょっと確認してみましょう。

【ハーズバーグの動機付け理論】
 ➀ 目標が達成できること
 ➁ 達成したことが承認されること
 ➂ 価値あることへの挑戦
 ➃ 自己成長感
 ➄ 職責・責任が拡大すること

【マズローの欲求充足理論】
 ➀ 報酬を含め物質的欲求を満たしてくれるもの
 ➁ 愛されたいという欲求を満たしてくれるもの
 ➂ 認められたいという欲求をみたしてくれるもの
 ➃ 自分のやりたいという欲求を満たしてくれるもの

 動機付けの要因は色々ありますが、身近なところでは『できた』『やった』という何かをやり遂げたという【達成感】のエネルギーはとても強いものだと日頃感じています。仕事でも、目標を設定して挑戦していく姿勢はとても大切なことだと思います。ただ、設定した目標が未達成の場合が圧倒的に多いのが現実です。そこで、上司はうまくいこうがいくまいが、『やれた』という達成感をスタッフに与え続けなければなりません。

 達成感があれば、部下から『次、またやりましょう』という言葉が出てくるはずです。部下が求めているのは、満足であり感動です。
 

 

《人事考課への納得感》

 人事考課に対する不満が、私の実務面からの実感として【50%】程度かな?と思っていました。(人事考課賛成派半分・反対派半分)しかし、とあるリサーチ会社の人事考課制度へのアンケート結果によると、およそ70%以上の社員が何らかの不満を持っているようです。

 不満項目別に分析してみると次のようになります。

【評価基準が不明確】
 評価基準が不明確になっていることで、何をやれば高い評価になるのかがぼやけてしまいます。また、評価する側からすれば甘・辛といったような考課エラーに繫がっていく心配があります。

【公正・正当でない】
 これも、評価基準が明確になっていないことが原因と考えられますが、評価する人の好き嫌いの影響を受けたり、同じ行動が上司次第で変わってしまうということが起きます。

【フィードバックがない】
 評価結果がフィードバックされないことで、自己評価とのギャップが確認できないし、主観的自己評価のままでは、改善すべき点・伸ばすべき点がはっきりしない。

【所  見】
 実務担当者としての考えですが、根本的に人は評価されたいと思っています。評価しないということは、無視することにちかいかな?
 また、人が人を評価するわけですから好き嫌い、甘・辛といった考課エラーも当然に発生してきます。調査結果にもあるように【評価基準を明確化】することで
一定の効果は期待できると思いますが、大切なことはギャップのある考課項目についてはフィードバックを実施することです。

 社員の成長といった視点での人事考課制度の運用に留意するとよいと思います。

《ネット記事・新卒1000万円》

 ネットの記事で気になる内容のものがありました。
 
【NECは新卒1000万円 NTTは1億円 研究者待遇】

 新卒の1000万円は年収ということですが、最近の大卒の初任給の月額が21万円とすれば、年収で330万円程度になります。従って1000万円というのは、実に三倍ですからインパクトがありますね。記事によると、今年の10月からの人事制度改定により、新入社員でも1000万円以上の年収を得られるようにするようです。本給・手当・賞与で、どのようにコントロールするのか興味深いところです。

 一方のNTT 1億円のほうは、現在日本国内のエキスパート研究者で年収2000万円程度の水準だが、米国並みにスター研究者には年1億円以上の報酬を出す用意があると澤田社長が語ったとあります。

 この2つの事例は、今の日本の人手不足と優秀な社員の離職といった問題が如実に反映されていると感じました。

 1000万円とか1億円を用意できない中小企業は、どうしたらようのでしょうか?悩ましい問題です。

《業務改善の視点を数値で》

 働き方改革の影響か、業務改善に取り組む組織が増えてきているように感じます。業務改善によってコストダウンが実現出来たり生産性が向上したりと様々な効果が期待できます。

 その際にとの位の金額のコストダウンだったのか、生産性は何%程度アップしたのか数値化することがとても重要です。

 例えば、3Sの《整頓目標》を、必要な材料・備品・データなどを15秒で見つけることが出来るようにする、とします。その成果を数値では次のように表現することになります。

《タイムイズマネー》
 社員一人1日5分の節約 ✖ 1ケ月22日 ✖ 社員数100名 ✖ 1年間12ケ月 = 年間3200時間の節約
 3200時間 ✖ 一人時間単価1500円 = 年間330万円の節約となります。

 自分たちの実行したことの結果を《見える化》することは、社員のモチベーションにも良い影響を与えることになります。

 業務改善に限ったことではありませんが、自分たちの行動を数値に置き換えて考えてみるようにして下さい。
 

 

《利便性の裏側で》

 読売新聞の編集手帳より

 第一生命保険が毎年募集している『サラリーマン川柳』に、かつて大いに共感した入選作がある。
『ドットコム  どこが混むのと 聞く上司』《ネット不安》
 
 共感と書いたが、部下に笑われた上司に対しての共感である。ネット社会の進化についていけない。自己分析すると、どこかで手続きを間違うのではないかと億劫になってしまい、まだ買い物をしたことがない。
 
 そんな小欄が同類意識を持ったと言えば、はなはだ迷惑だろうか。システムへの不正アクセスが相次ぎ、記者会見を開いた大手コンビニの決済会社『セブン・ペイ』の社長さんである。

 『ユーザー登録時に2段階認証するサービスがほとんどだか、やらなかった理由は?』。こう問われ、『2段階認証・・・』と言葉につまる場面があった。今や、本人確認の当たり前の仕組みといわれる。それを整えていれば、悪い人たちにやすやすと登録した客になりすまされ、レジでスマホをかざされることはなかったという。

 こう書いていてもサイバー空間とレジの間で何が起こったか、きちんと理解しているかどうか自信がない。まさか、この会社も?

 

《エルダー制度》

 最近離職率を抑える目的で、《エルダー制度》《メンター制度》を導入する企業が増えてきているように感じます。弊社では、ここ十年くらい《トップによる個別面接》を年に一回程度実施することで、離職率をかなり抑えることに成功していると思います。

 《エルダー制度》《メンター制度》は、主に新人社員を対象にして組織として【指導者・相談相手】を設定することですが、以前はOJT又はOJDと呼ばれていました。いわゆる、社員のスキル・知識の教育・育成・開発です。OJT計画書に基づいて、【現状把握】⇒【開発レベル設定】⇒【指導スタイル選択】⇒【環境づくり】⇒【指導期間】等を確認します。ポイントは、本人の強みが生かされて開発されるように計画書が策定されることだと思います。そして、作りっぱなしにしないで、ショートタイムで計画書の内容と現状の確認をして内容を変更していく必要があります。

 OJTに比べると《エルダー制度》《メンター制度》は、柔らかな感じを受けますが、離職率を抑えるだけでなく【教育・育成・開発】も重要な目的です。実りあるものとして運用したいものです。

【傾聴のポイント】
➀アドバイスしようとして聴かない
➁価値判断しない
➂励まさない 

 

《編集手帳より》

 読売新聞・・・・編集手帳より 

 仏教の修養法に『止観』がある。心を静めて智慧を起こし、事物を正しく観る。日想観はその一つで、西方に沈みゆく太陽を見て、極楽浄土を観想する。

 司馬遼太郎さんの『大阪の原形』によると中世、難波・四天王寺での日想観が有名だった。夕陽を見るために諸国から人が集まったのだという。辺りは台地で、今も夕陽丘や夕陽ケ丘の名がある。

 学生の頃、好きでよく歩いた司馬さんは、ある夕、鮮やかな朱色で《天体とはおもえない太陽》が、漂うように沈んでいくさまを崖から眺める。《息をわすれるような思い》がして《大阪の名所をあげよといわれれば、この崖ではないか》と思ったそうだ。

 難題を抱え、崖っぷちでせめぎ合うリーダーたちは、なにかしら光を見ただろうか。大阪でのG20首脳会議が終わった。笑顔有り、渋面あり、議論の合間にのぞく顔は様々だった。一定の成果、との報を、まずは信ずるほかない。

 《見よ 燃える空 あの空に映るのは 人の世の苦しみ 争い そして愛》“君は夕焼けを見たか”・・・阪田寛夫  できることならば、御一行様を隠れた名所に案内したかった。