月別アーカイブ: 2015年11月

《見える化を考える》

 2000年に入ってから、“見える化”という言葉を使って企業の≪業務改善≫や≪問題解決≫への取組みがなされてきました。今日は、“見える化”について少し考えてみたいと思います。

 『見える化』という言葉は一見きわめて平易な言葉ですが、まずは・・・見える化とは・・・見たくなくても目に飛び込んできてしまう、そんな状態を作り出すことです。別な表現をすれば、【見せる化】と言うことでしょうか。企業活動においては、異常や問題が露見する前に、小さな変化や予兆をつかみ『見せる』ようにすることが、大事故・クレームを防ぐ大切なポイントになります。

 『見える化』は広い意味では情報共有であり、相手が『見よう』という意思を持っていることが前提になっています。

 ですから、『見える化』の基本は、相手の意思にかかわらず、さまざまな事実や問題が『目に飛び込んでくる』状態を作り出すことであり、【見える】から【見せる】に進化させなければならないのです。

 もう一つ重要な事は、『悪い情報』『後ろ向きの情報』が【見せる化】されることです。この種の情報は、本来『見せたくない』情報であり、放っておくと見えません。しかし、“悪さ”を早く発見・共有できれば、手遅れになる前に手を打つことができ、『見せる化』の価値も大きくなります。ですから、現場でおきている『悪い情報』を徹底的に見せるようにすることがポイントなのです。

《目的と目標は違う》

 『目的』と『目標』は違います。今日は、このことについて考えてみましょう。

 『目的』というのは最終的に行き着くところ、『目標』というのは、その為のプロセスや、目的達成の手段です。

 最近、目標管理の研修などで企業を訪問して感じることは、そこで働く社員たちの疲労感です。どうも、売上や利益などの数字を追うことが目的になっていて、会社の存在意義(本来の目的)を忘れていまっているようです。売上や利益も企業が存続していくためには大切な要素だとは思うのですが、そこの部分が強調されたノルマ設定による管理運用では、そこで働く人たちは本当にかわいそうです。

 良い商品やサービスを提供して、お客様に喜んで頂くことが会社としての一義的な存在意義《目的》です。さらに、それを通じて働く人や株主などの関わる人たちを幸せにするのも目的です。

 『単に儲ければいい』と勘違いすると、利益が目的などと言う人が出てきてしまうのです。でも、そのような企業は長続きしないと思います。

 今一度、我社の《目的》をじっくり考えてみるのもいいのではないでしょうか!

《五〇〇件目の投稿になりました》

 今日は、中・高校生の投稿を御案内します。

【苦手な人と話し成長】

 クラスメートの悪口を言ったとき、母は『良かったね、その人に出会えて!』と言った。皮肉だろうと思ったが、続く言葉に驚いた。

 『社会にはいろんな人がいて、出会えたことで修行を積める。あなたを成長させてくれる先生だね!』

 苦手と感じる人にも積極的に話しかけてみた。すると、その人の長所が見えてきて、良い人と感じることも多くなった。嫌いな人が減り、世界が広くなった気がする。

 高校生 米村麻耶子 (熊本市)

【席替えの楽しみ】

 席替えの日は、どこの席がいいか、などと想像してドキドキします。席を替えることがきっかけで、あまり話すことがなかった人と仲良くなったり、今まで見えなかったところが見えたりもします。

 席替えのような小さな出来事にも、いろいろな意味があるのだと思います。すべてのことに意味があり、何かの役に立っているのだと思います。落ち込んだ時、そう考えると楽になると思います。

 中学生 藤川晃多 (東京都町田市)

《人を動かす》

 D・カーネギーの著書“人を動かす”の中で【人を動かす秘訣】について、次のように書いています。

 人を動かす秘訣は、この世に、ただ一つしかない。この事実について気づている人は、はなはだ少ないように思われる。しかし、人を動かす秘訣は、間違いなく、一つしかないのである。すなわち、みずから動きたくなる気持ちを起こさせること・・・・・これが、秘訣だ。

 人事とか組織運営での大きなテーマの一つ【動機づけ】について、シンプルに表現しています。見事ですね!

 そこで皆さんは人を動かす場合にどのような手法を取られているのでしょうか?
 『仕事をしろ!さもないと大変な事になるぞ。』・・・・・恐怖・強制による動機づけ
 『勉強しなさい!終わったらおやつを与えるよ。』・・・・報酬・褒章・表彰による動機づけ
 
 以上は、現在も使用されている動機づけの方法だと思いますが、D・カーネギーの提案する秘訣とは、相反しています。では“みずから動きたくなる気持ち”とはどのようなことなのでしょうか。

 一つには、欲求五段階説を唱えた“マズロー”の【自己実現欲求】にヒントを見いだすことが出来ます。組織を運営していく上での【動機づけのポイント】は、“組織の実現したいこと”と“社員個人で実現したいこと”の合致点を模索する事だと思います。別な表現をすれば、組織目標と個人目標のすり合わせと合意を丁寧に実施することが重要になると考えています。

 目標管理制度を上手に運用する為にも、上司と部下のコミュニケーションがとても大切です。

《手抜き工事に揺れる》

 読売新聞 “編集手帳”より

 黒沢明監督が『用心棒』を撮影しているとき、米国の婦人が五人ほど見学に訪れた。やがて全員が真っ青になり、うち一人は気絶しかけた。血まみれの宿場町が舞台だが、体調不良の原因は“におい”であったという。

 黒沢監督がある対談で回想している。『セットが血だらけで、それににおいをつけたんですよ(笑)。赤い塗料に重油かなんかまぜてね、いやなにおいがするように。奥方たちが青くなってひっくり返りそうになるわけです。』

 臭気はカメラに写らない。見えない部分にも神経を使う。名作とはそのようにして生まれるらしい。

 『星とたんぽぽ』という金子みすずの詩がある。
 “見えぬけれどもあるんだよ・・・ 春のくるまでかくれてる  つよいその根は眼にみえぬ。”

 目に見える花以上に、目に見えない根を貴ぶのは映画に限らず、日本が誇るもの作りの文化である・・・いや、文化であった。目に見えないところで手を抜いた事件に揺れながら、今日は“文化の日”である。

 岩盤に打ち込む杭もいわば、“用心棒”地震に用心する棒である。でたらめで信用ならぬ用心棒の放った悪臭に、世間の顔面蒼白が続く。