《目標管理》を考える

 目標管理の一連の流れを簡単に整理してみたいと思います。

 ステップⅠ【挑戦的な高い目標の設定】
 挑戦的な高い目標を設定することで、現状と目標のギャップを明確にすることで《プロセス上にある課題・問題》が明確になります。

 ステップⅡ【外部・内部の環境分析】
 SWОT分析の手法により、組織あるいは集団の強み・弱みと外部環境の変化を把握する。

 ステップⅢ【絞込み】
 課題・問題の解決に向けて《何をするか》の絞込みをします。

 ステップⅣ【実行計画作成】
 4Pの視点『プロダクト』『プライス』『プレイス』『プロモーション』から、具体的行動(アクションプラン)にまとめる。

 ステップⅤ【ショートタイムチェック】

 以上のようなステップによる目標管理の運用をサポートしていますが、極めて大事なポイントは【具体的な行動】レベルに落とし込むことと、この行動を評価することでしょうか。
 今日も短めの書き込みになりました。

《四人の人の物語》

 短い詩ですが、興味深いので御紹介します。

 皆でやらねばならない重要な仕事があった。
 『誰かがきっとやるだろう』と皆が思った。
 誰でもやることができたであろうに、誰もやらなかった。
 皆の仕事なのに、と誰かが腹をたてた。
 『誰でもやれることだと皆が思った』
 しかし『誰もやらないだろうとは、誰も気づかなかった』
 誰かに頼んだ人は、誰もいなかったのに
 最後には、皆が誰かのせいにした。

《達成感》を考える

 先週末から、社内研修でお客様のところに出張しており書き込みが出来ませんでした。複数のお客様だったのですが、研修のテーマは【目標管理と業務改善】を中心に進めました。新年度ですから、業務課題を抽出してチーム目標に落とし込んで今後1年かけて改善していく、といったものです。

 今回の研修を実施しながら、私は《達成感》についてずっと考えていました。人間の動機づけとして《達成感》は、きわめて重要な要素であると、ハ―ズバーグは【動機づけ・衛生要因理論】で述べています。
 子供を例にとれば、『おつかいの体験が、子供の育ちに与える影響は大きい。ちゃんと出来た、役に立てたという自信や達成感につながる』
 ここで、私の悩みは『小さい目標を設定して、達成感を感じるべきか』『大きな目標を設定して未達に終わるか』です。達成感だけを取り上げれば、『小さい目標の達成感』になるのでしょうが、はたして『?』である。人はチャレンジングな目標に挑戦して、それが満たされた時に達成感を感じることが出来るのではないかと考えるからです。
 もうしばらく悩んでみたいと思いますが、『しっかり出来た時に』褒めてあげる【自分で自分を褒めることも含めて】ことは、とても大切だと感じています。

《パワーハラスメント》厚労省のホームページより

 厚労省のホームページに『パワーハラスメントの予防・解決に向けた提言』が掲載されていました。その中から一部御案内します。

 【職場の一人ひとりへの期待】・・・人格尊重・コミュニケーション・互いの支え合い
※人格尊重 職場のパワーハラスメント対策の本質は、職場の一人ひとりが、自分も相手も、等しく、不当に傷つけられてはならない尊厳や人格を持った存在であることを認識した上で、それぞれの価値観、立場、能力などといった違いを認めて、互いを受け止め、その人格を尊重し合うことにある。

※コミュニケーション 互いの人格の尊重は、上司と部下や同僚の間で、理解し協力し合う適切なコミュニケーションを形成する努力を通じて実現できるものである。
 そのため、職場のパワーハラスメント対策は、コミュニケーションを抑制するものであってはならない。
 職場の一人ひとりが、こうしたコミュニケーションを適切に、そして積極的に行うことがパワーハラスメントの予防につながる。
 例えば、上司は、指導や注意は『事柄』を中心に行い『人格』攻撃に陥らないようにする。部下は、仕事の進め方に疑問や戸惑いを感じることがあれば、そうした気持ちを適切に伝える。それらの必要な心構えを身につけることを期待したい。

※互いの支え合い 職場の一人ひとりが、職場のパワーハラスメントを見過ごさずに向き合い、こうした行為を受けた人を孤立させずに声をかけ合うなど、互いに支え合うことが重要である。

 コミュニケーションスキルが大切なんでしょうか!
 

《定量的説得思考》

 最近社員研修を実施して《問題解決思考力》と《定量的説得思考力》が不足していると感じることが多くなりました。お話を聞くと《スキルの研修》とか《マナー研修》等実務的な研修に多くの時間を使っているようです。

 今日は、不足気味だと感じている《定量的説得思考力》について書いてみたいと思います。
 例えば、ある自動車の販売会社で売上のない部下に対して、上司が『お前はダメな社員だなぁ。営業マンとしては失格だ。なんで一人前の仕事が出来ないんだ!そんなんじゃ奥さんや家族からも嫌われるぞ!』と叱ったとしましょう。
 この場合感情にまかせ叱ることで得られるのは上司の自己満足と部下の屈辱感だけなのです。
 
 もし目的をしっかり理解し、達成させようとしている上司であれば、次のように語るでしょう。
 『うちの商品が優れていることは君も知っていると思うが、値段は他社に比べると20%程低く設定しているし、顧客満足度指数・リピーター数も高水準を維持している。もっと自信を持ってお客様に接しなさい。見込み客リストを現在の2倍にする為のアクションプランを明日一緒に検討してみよう。君の年収は、現在360万円だが、毎月売上を15%増すると520万円程に上がる可能性がある。自分自身の為、家族の為に頑張ってみるか!応援しているからな』
 このような感じで上司が語ったとしたらどうでしよう。部下は上司の話に納得し、気を取り直し、自分の為に、家族の為に、そして上司と会社の為に、きっと仕事に精を出してくれることでしょう。
 ここで大切な事は、具体的な目標・数値・方法などを示すことだと思います。『頑張れ、頑張れ』と励ますだけでは、ナカナカ成果は上がらないと思います。
 

《ポジティブ・ネガティブ・認知について》

 今日は、出来事の捉え方【認知】につてい考えてみたいと思います。
 人生には、良いように見えることや悪いように見えることが起こります。
 その出来事を悪いことだと捉えるとマイナス思考【ネガティブ】となります。その逆をプラス思考【ポジティブ】といい、『それならば出来事を良いことだと捉えればよいのだ』と思いますが、あなたはどうのように考えますか。最近は、『ポジティブ思考』がもてはやされていますが、無理にプラス思考【ポジティブ】が良いことだと思わなくてもいいのではないでしょうか。
 元来、物事・出来事というものは【ニュートラル】なものなのです。私たちが勝手にその時々、それぞれの判断を下して【認知】いるのです。
 悪いことが起こったといっては嘆き、良いことがあったといってはラッキーだと喜びます。しかし、これらの出来事を並べてみて、一連の動きとしてみると、一つひとつのことに一喜一憂して、振り回されることはないことがわかります。
 例えば『人間万事塞翁が馬』という話がありますね。
 “塞翁が馬”とは、自分が飼っていた馬が逃げてしまい、不運を嘆いていた。すると、しばらくしてその馬が他の馬を連れて帰ってきて『なんと運の良いことだ』と喜んだ。
 しかし、今度はその馬から落ちて骨折していまい、また何と運の悪いことだと嘆いた。が、ケガのおかげで兵士として戦場に行くことをまぬがれた。
 こうしてみると、出来事をプラスやマイナスで捉えるのではなく『ただ、こうゆうことがあった』とあまのままに捉える。【ニュートラル】な捉え方があってもよいのではないか、ということに気づきます。

《人事考課制度の必要性》

 企業・組織では、人事考課の必要性について議論することが時々あるようですが、一言でいえば『よくやった人を評価しそれに報いる為』に、制度的に必要だと私は考えます。最近、医療・福祉の現場で人事考課制度が上手く運用出来なかったり、人事考課制度を止めたりといったことが起きているようです。
 現場の声『忙しい、時間がない、面倒くさい』に引きずられて、本来あるべきはずの人事考課制度を使用して部下・上司がお互いに向き合うことを避けている例が見られます。こういった組織には、人材育成といった視点が不足していますし、リーダーとしての意識に欠けた役職者も多いです。組織が永続し成長していくためには、『人材』にフォーカスして教育・育成に時間を使う必要性を強く感じています。
 スキルの教育、マナー研修、コミュニケーション研修等も大切な事だとは思いますが、まずは最低限の仕掛けとして『人事考課制度』を運用することがポイントです。そのためには、【トップはブレない】ことが重要になります。(社員の声を聞き過ぎても?)

 最後に
※この世で一番簡単なこと
 この世で三番目に簡単なのは・・・人を責めることである
 この世で二番目に簡単なのは・・・人のせいにすることである
 この世で一番簡単なのは  ・・・人のせいにしていることに気づかないことである

※この世で一番難しいこと
 この世で三番目に難しいのは・・・人を許すことである
 この世で二番目に難しいのは・・・ウソをつかないことである
 この世で一番難しいのは  ・・・ウソをついている自分に気づくことである

《昇格と昇進》

 今日は、《昇格と昇進》について考えてみたいと思います。

 『ウチの部長や課長は名ばかりで、名刺部長や待遇課長ばかりですよ』とある会社の社長が人材の少なさを嘆かれた。また、『提案に示された等級基準書でまともに評価したら、D評価社員ばかりで実力は2ランク下の者ばかりですよ』とも言われる。
 『人材のダブついた大企業ならいざ知らず、我々中小企業では、上げて育てるという考え方でもよろしいじゃないですか。役職が人を創るとも言いますし、2~3年かけて本物に育てるということで、本来の等級資格は課長格でも役職は営業部長ということもあっていいんじゃないですか。暫くは部長心得で、しっかり力をつけてもらって正部長にしましょう』と、昇格・昇進の管理が教科書通りにはいかないことから、応用対策でいくことを提案する。
 厳しい昇格・昇進管理が、少数精鋭主義の組織原則であることは承知しているし、そうありたいと切望している。だが、現実の中小企業では、そのまま原則を貫くことが、かえって業績づくりに貢献できないこともある。ここは、中長期の精鋭組織づくりを目指すことにする。

 昇 進・・・・・営業政策や組織管理上、部長心得辞令、課長心得辞令を先行させることもある。【抜擢人事として活用する】
 昇 格・・・・・本来の等級基準書の思想でできるだけ厳しくやる。 

《能力ある者ができるのではない!》

 【保持能力】と【発揮能力】について考えてみたい。

 社内では、『そろそろ俺も課長にしてもらっていいだろう。当然その程度の能力はあるし、昇格基準も満たしているはずだ。』このような声が時々聞かれます。一方経営者からは『昇格だ・昇進だとこんな話をいくらしてもみても、船は進まないし、会社が良くなるはずがない。我々中小企業では、一人ひとりがどれだけの実績を上げたかが問題だ。皆の能力が上がり上へ上へと昇格していったが、船が沈んでしまったというのでは話にならない。』と言われる。
 全くその通りである。成果実績主義の成績評価の思想そのものであり、全く異存はない。ただし、制度的に階層があって上位階層への昇格の道が示されており、一つのリワードとして機能していることも事実である。
 【保持能力】能力があり技術資格や国家資格があることそれ自体が評価される。人の潜在能力は比べようがないし、比較もできない。協調性や積極性、責任感もそれ自体では意味がない。【発揮能力】それらの能力があったがために、どれだけの成果・実績を残したのかが問題なのだと思います。
 
 ①能力がある者      ⇒ 成果・実績を上げてくれるはずだ。
 ②成果・実績を上げた者 ⇒ 確かに実力を持っている。

 中小企業では、②の立場での成果実績中心の実力主義でいかざるを得ない。そして、《結果の平等ではなく、チャンスの平等》と唱えています。このような立場にたつ会社が、永続と成長を勝ち取るのだと考えます。

《人事考課・指定席と既得権》

 【評価はいつも同じです】
 社員サイドの会社批判や上司批判とは反対に、会社幹部に社員の評価を尋ねると『成績評価はいつも同じですよ。良い者はいつも良いし、ダメな者はいつもダメですよ』と言われる。多くの会社で同様で似たような話がよく出てくる。考課者訓練でお伺いしても、皆さん同様に感じているようだ。
 成績評価の弊害として、一番心配されるのがこれである。いつも、成績の良いAクラスの者のグループが固定され、これが『上司からの覚えが良い連中』と映り、一方でワンランク落ちるCクラスのグループが固定され、これが『覚えの悪い連中』と映っているとするならば、大変である。
 Aクラスの『上司の覚えの良い』方は、多少の失敗や成績ダウンがあったとしても、【今回もまたA評価をもらえるはずだ】と《既得権意識》を持つようになり、上司も評価を下げるとやる気をなくしたり、ヘタをして退社といったことも困るのでA評価を続けることになる。
 Cクラスの『覚えの悪い』方は、【どうせ少々頑張っても評価が変わるはずがない】と思い込み、半分あきらめ気味ですし、上司の方もつけにくいC・Dの評価は、今までの実績のあるメンバーのほうが心理的にもつけやすいので、徐々に《指定席》が固まってくる。
 成績評価にシード権はないですし、終身A会員もありません。毎期毎期ご破算でその期の実績に応じて評価してもらいたいし、実力主義給与体系での昇格に際しては、一度標準に戻してから改めて上位等級での基準がBかAか、あるいはCなのかを判断して頂きたい。
 入れ替えのない世界は面白くないし、入れ替わりのチャンスがあると思うから頑張れるのです。係長でAだった者が課長クラスに昇格してBになったとしても当たり前な話で、それでも上出来である。
 『実力給と業績年俸制のすすめ』より