《年俸制を考える》

 賃金の支払い形態の一つで、社員の賃金を年収ベースで取り決める制度です。他に時給・日給・週給・月給という支払い形態があるが、週給と年俸は最近まで、わが国ではなじみの薄い支払い形態でした。年俸制そのものは、古い歴史をもつもので国内でも古くから紹介され、導入活用の試みが少数例ながらなされていた。近年では、平成不況期に入り、これまでの年功賃金を止める有効な制度にならないかと、導入検討の試みが多くの会社でなされた。
 総額人件費管理の面では、年俸制は優れたツールといえる。近年は、より積極的な活用が増えているし、トップダウン型の企業ではモチベーションの強化にも大いに役立っている。要は、実績と賃金とをリンクしたものとすること、あるいは実績を賃金に反映させる評価システムを確立することが大切となる。時給制から年俸制までの企業の実態に合った最適のシステムにすることと、いかにして実績をあげ、あげた実績をどのように評価してやるか、目標管理制度や成績評価制度の合理化がクローズアップされてくる。

※年俸制の主なパターン
 ① 総額一本方式
 ② ゾーン方式(範囲年俸制)
 ③ 基本年俸・業績年俸の2階建方式
 ④ 業績年俸方式
 ⑤ 実績払付加方式

 中小企業の年俸制採用で注意すべき落とし穴は、賃金の下方硬直性にいかに上手に対応できる仕組みになっているかである。賃金の下方硬直性とは【一度上げた賃金を下げることは現実には極めて困難だということ】
 比較的簡単でスムーズな年収管理のできる『年収管理型の年俸制』をおすすめしている。

《給与体系の構成》について

※基本給のしくみ
 基本給は、【本給】+【加給】+【資格給】の構成とする。また、加給は本給とリンクし、本給の一定割合で自動的に算出するしくみとしている。この加給に毎年のベースアップ分を累積させていく方式を採用する。毎年本給表を書きかえることはしない。

①新本給
 本給は、『等級号数制』を採用し、実力に応じて毎年平均の成績(昇給評語B)で5号ずつ定時改定する。なお、新本給表では、これまで問題の多かった『昇給調整年齢』を排除した。

②新資格給(昇格給)⇒4つの機能をもつオリジナルの等級資格給
 『新資格給』は、単なる『昇格給の別称』ではなく、これまでの賃金制度のいきづまりを打破する【いわばマルチ機能】を持たせており、各人の等級に応じて定額を支給するものである。
 すなわち、新資格給は一種の昇格給でもあり、賃金に刺激性を持たせることを一つの目的としている。また、この新資格給で、新卒者の初任給調整(特に大卒)にも弾力的に対応できるように配慮している。さらにまた、この新資格給は複線型賃金システムへの『ジョイント機能』をも、併せて持たせている。(この新資格給は、各企業の実情に応じて設定し、採用しないこともありうるし、また複数のコース別新資格給を採用することもある)

 他に諸手当の設定をすることになりますが、新体系の設計にあたっては【諸手当の合理化】を考慮してすすめていきます。
 

《中途採用の賃金管理》

 中堅・中小企業では、中途採用こそが重要な人材確保の基本ルートです。中途採用の賃金管理を次の6つのグループに区分し合理化を行っています。

①スカウトグループ【モデル賃金 A7】
 企業活動の展開や経営管理上不可欠な幹部人材、企画・営業・技術等のいわゆる戦略人材のグループである。これらの人材は、企業の発展段階によって、求められる質が大きく変わってくる。社内に人材が不在であれば外から採用するしかない。
 海外マーケッターや新技術開発等の専門スタッフもこのグループに入る。現在在職中の者を引き抜いて入社を勧誘する場合に、モデル賃金A7までを適用する。それでも、自社の基準が低くて採用しがたい場合は、“業績加算”か“調整加算”により、賃金水準の確保を図ってやる。ただし、基本給はA7モデルまでで止める。

②準スカウトグループ【モデル賃金 A5B2】
 現実には、このグループの採用がかなり多いと思われる。銀行や取引先、また社員による人材の紹介や打診は多い。この際の適用基準が多くあり、最も難しい。スカウトによる戦略人材の確保と同等の扱いをしても良いと判断される場合には、A5B2モデルまでの適用をすすめている。

③即戦力グループ【モデル賃金 B5】
 支店や営業所の新増設や工場建設などで、強力な即戦力の人材が多く必要な場合に、このグループの適用をすすめている。B5又はB4モデルまで。人材確保が容易な場合には、これより低いC3モデルも検討する。

④準即戦力グループ【モデル賃金 C3】
 鍛えれば、1年以内に即戦力化が見込まれる人材クループである。営業員や技術者の増員を図る場合の適用基準となる。このC3モデルが下限で、いわば保障ラインとなる。可能な限りこのラインを守りローコストになるように努めていく。

⑤素人工グループ【モデル賃金 C1】
 工場の人手として増員を図る場合に適用する基準がこれである。専門技術や営業実績を問うことなく、今後教育して“技能職”としての戦力確保を期待する場合の人材グループである。

⑥その他一般・専門補助グループ【モデル賃金 D1】
 これは、工場の一般作業職、専門補助、スーパーの販売担当など、パートでなく、正社員として採用する場合の適用基準となる。パートから正社員登用する場合も、これが基準となる。これらが、『ローコスト・オペレーション』のカギを握る人材グループとなる。このグループの質を、どれだけ維持できるかが、人事の力であり、会社の力である。 

《最近の給与体系》を考える Ⅱ

 最近の給与体系の設計にあたっては、次のような点に留意しています。

① 成長のステップを明らかにし、将来の昇給が見通せるようにする。
② 昇格基準、昇給基準を明確で合理的なものとする。
③ シンプルで分かりやすく、運営管理が容易にできる。
④ 人事労務管理のバックボーンとなる賃金制度・人事制度を確立する。
⑤ 賃金資源の有効配分により、社員の能力開発の促進と経営活性化に役立てる。(初任給対策・中高年対策・退職金対策)
⑥ コース別新昇格給の活用により、多様な業種・業態への対応を可能とする。(複線型対応)
⑦ 新制度への移行原資をかけない。

 以上のような点を大切にしながら、賃金制度の改訂や合理化を進めていますが、【時間=お金】といった文化から【能力・成果=お金】という文化に変えていくことが大きなポイントになるのではないかと思います。
 中小企業においては、いまだに“年功給”的な運用が見受けられます。

《最近の給与体系》を考える

 平成8年に賃銀総研グループに加入しして、早いもので10数年が経過しました。その間、給与体系の提案・人事考課制度の構築・目標管理制度の導入・ビジネスコーチングと人事全般のコンサルテ―ションを行ってきました。
 そんな中で、給与体系を取り上げてみても随分と変化していることが実感されます。当初は、弥冨方式の抱えていた体系上の次のような問題点を改善するというアプローチでスタートをしました。
※ 問題点
  ①高卒初任給と大卒初任給の各カーブが連続しなくなった。
  ②高学歴優位の体系となっていた。
  ③『調整年齢』が硬直的で、かつ設定基準が不明確だった。
  ④成績評価が貧弱で使用に耐えず。
  ⑤多種多様な職種・業態に応じた複線型賃金システムに対応しきれなかった。
  ⑥定期昇給額が過大となり、政策判断の入る余地が少なかった。
  ⑦賃金以外の能力開発、評価、配置(異動)等がトータルシステムとして捉えられていなかった。
  ⑧提唱後30年以上経過し、制度疲労が大きくなった。

 改善の内容としては、年齢給、勤続給を排し、100%実力給の体系とした。基本給は、新本給、新資格給(昇格給)の構成である。なお、新本給の中に年齢調整不要の仕組みが設定してあり、新資格給(昇格給)の活用で学歴格差の解消、複線型賃金システムの対応を可能とした。

 平成8年当時は、以上の体系で十分対応が可能でしたが、特に“リーマンショック”以降給与体系に更なる変化が起きています。
 次回、最近の体系の特徴について触れたいと思います。

《品揃えが豊富すぎると逆に売上が下がる》

 シ―ナ・アイエンガー博士が興味深い実験をしています。“ジャム”を使っての調査・実験なのですが、少し紹介すると次のような内容です。

 アメリカのドレーガ―ズというスーパーでは、試食コーナーが準備され同じ商品グループの中から20~50種類ものサンプルを試食出来るようになっていた。店は、圧巻の品揃えでまちがいなく注目を集めていた。だが、その注目は、売上に結びついていただろうか?
 そんなわけで、わたしは店内に自分の試食コーナーを設置して実験をやらせてもらうことになった。選んだ商品はイギリス女王御用達のジャム会社、ウィルキン&サンズのジャム。理由は、種類が豊富で品質が高かったことと、試食しやすく、ほとんどの人が好きか、少なくとも嫌いではないと考えたからだ。
 試食実験は、大きな品揃え【24種類のジャム】と小さな品揃え【6種類のジャム】の二つのグループに分けて数時間ごとに入れ替えを実施しました。試食客が試食したジャムは平均2種類程度だった。試食コーナーに立ち寄った客全員に1週間有効の1ドル割引きのクーポンを渡して購入行動の追跡調査を行った。
 クーポンを集計した結果、驚くべき事実が判明した。。小さな品揃え【6種類のジャム】の試食に立ち寄った客のうち、ジャムを購入したのは30%だったのに比べ、大きな品揃え【24種類のジャム】の試食の場合、実際にジャムを購入したのは、試食客のわずか3%だったのだ。大きな品揃え【24種類のジャム】のほうが、買い物客の注目を集めた。それなのに、実際にジャムを購入した客の人数は、小さな品揃え【6種類のジャム】のほうが、6倍以上も多かったのである。

 興味深い話です。

《ザ・シークレット》より

 ザ・シークレットという本がベストセラーになって数年が経過しますが、今日は、【秘密のまとめ】をご案内します。

 ● 全てのものはエネルギーです。あなたのエネルギーの磁石で、自分の欲しいもの全てに電気を送りだし、自分に向かわせ、また、あなた自身も電気を帯びて、欲しいものへと向かいます。
 ● あなたはスピリチュアルな存在です。あなたはエネルギーです。そのエネルギーは創造することも、消滅させることも出来ません。ただ、その形を変えるだけです。それ故、あなたの本質はこれまでも常に存在し、これからも常に存在します。
 ● 宇宙は思考から出現します。私たちは自分の運命の創造主であるだけでなく、宇宙の運命の創造主でもあります。
 ● あなたのために無限のアイディアが準備されています。全ての知識、発見、発明は宇宙のマインド(創造的な力)の中に可能性として存在しており、人間のマインドがそれを見える世界へと引き出すのを待っているのです。あなたは全てのものをあなたの意識の中に持っています。
 ● 過去の苦しみ、文化的習慣、社会常識などを全て手放しましょう。あなたに値するあなたの人生を創造できるのはあなただけなのです。
 ● あなたの望みを実現する近道は、あなたが望んでいるものはすでに与えられているのだと、絶対的な既成事実と見なすことです。
 ● あなたの力はあなたの思考の中にあります。だから、自分が今、考えていることにいつも気づきなさい。言い方を換えれば『いつも思い出しなさい』ということです。

 引き寄せの法則から、『思考が現実化する』

《夢は実現する》

 現実を変えるには『私は成功したい』と考えるかわりに『私は成功している』と考えることだ。(二―ル・ドナルド・ウォルシュ)
 アファメーションの作成の方法でも説明してますが、自己宣言を作る際のポイントは、①第一人称 ②現在形 ③ワクワク感に留意することでしたが、今日本を読んでいたらウォルシュの上記の言葉に出会いました。

 『成功したい』と多くの人は、願うわけですが、大半の場合それだけでは成功しない。何故なら、たいていの人は『思い』【思考】と『存在』【成功している状態】を別々のものだと思い込んでいるからです。ところが、ジェームズ・アレンの言うように深い哲学的観点から考えると『存在とは思いの結果』であり、両者は一体なのです。
 例えば、試験に『合格したい』という強い望みは『まだ合格していない』という存在ばかりを強調するので勉強が辛く試験にも緊張しやすい。しかし、『もう合格している』と思い、勉強はそれまでのただの(手続き)にすぎないと思えは゛気が楽になり試験にも緊張せずに臨める。
 『幸せになりたい』と考えれば考えるほど、『幸せでない自分を意識』してしまいます。『既に幸せになっている自分』を思考することで、頭の中からネガティブなイメージを追い出しましょう。
 
 『夢は実現する』は真実である。

《生産プロセス》

 トヨタ生産方式 大野耐一著を読んでいます。1973年に初版が出ていますね。私は、学生時代を謳歌していた頃なのですが、当時マーケティング論の授業では『マスマーケティング』という言葉が随所で使われていたように思います。(今も記憶に残っているくらいです)『マスマーケティング』を日本語で表現すると【大量生産、大量消費】というように説明を受けた気がします。要するに、戦後高度成長の時代の波に乗って大量生産することでコストダウンが実現でき、消費者には安く物を供給すると同時に企業は利益を生み出す、といったことでしょうか。
 
 大学の授業では、当時先端の考え方として講義がなされていたのですが、“トヨタ生産方式”を読んで驚きました。トヨタは昭和の20年代から物作りに対する考え方が【多種少量で安く作ること】だったようです。【大量生産、大量消費】のまったく逆だったわけです。現在では、当たり前の考え方ですが、当時としては画期的だったのでしょう。それと、学問の分野と生産現場のギャップのようなものを垣間見た気がします。

 トヨタの生産に対する考え方は、精錬され『ジャスト・イン・タイム』『自働化』へと発展していきます。

《言葉について考える》Ⅲ

 今日は、言葉【自己対話】について考えてみたいと思います。

 自己対話の4段階

 自己対話には4つの段階があります。
 その第一段階は、言葉で表現すると『でも』『しかし』『無理』『出来ない』といったような、否定的なものです。“キラーフレーズ”とも呼ばれていますが、多くの人がこれによって縛られています。
 第二段階では、『しなければならない』『すべき』といった表現に代表される状態ですが、第一段階と比較すると目的論的なものが生まれてきています。しかし、問題を解決する手段がないために、この段階では何の変化も起こりません。
 第三段階では、『この状態から抜け出そう』『もうこんなことはやめよう』などの“誓い”が生まれてきます。この段階は、目標の達成に向かったり、問題の解決に進み始めたりしている状態です。
 第四段階では、『次はこうする』『明日はこうありたい』というように、ポジティブな自分をイメージして少しすつ変化している状態です。

 言語 ⇒ イメージ ⇒ 感情 ⇒ 自己イメージの形成 と【自己対話の第四段階】の両面から考察してみると、自分自身は言葉と自己対話をとおして【自分自身で形成している】ということが解ってきます。