人事考課」カテゴリーアーカイブ

《人事考課の時期ですね》

 三月に入り、新年度の予算・下期の人事考課と忙しい時期になりました。そこで、今日は人事考課について少し考えてみたいと思います。

 まずは、原点に帰って、人事考課の目的と機能について確認してみたいと思います。

 人事考課の目的・機能という点から考察すると主に三つ考えられます。

 一つ目の機能としては『社員のやる気を維持する』ことです。ここでは会社が持つ資金を社員の能力・成果・役割等に応じて適正に割り振ることにより、社員を会社にとどめておき、安定した組織を維持すること、つまり人事考課や処遇を適切におこなうことで、社員の仕事に対する意欲や組織への帰属意識を保とうとすることです。

 二つ目は、会社の期待に沿った形で社員に成長してもらう、つまり『人を育てる』ということです。人事考課を実施することで、社員として何をすべきか、何ができるようになれば良いか、またどういう心構えでいるべきか等について会社からのメッセージが伝えられます。社員の成長を促すような考課項目・考課面接・フィードバックでありたいと考えます。 

 三つ目は、適切な人事考課によって社員の意欲や能力の発揮が会社の経営戦略や経営方針と結び付くということです。人事考課や処遇を通じて会社目標の実現へと導いていく必要があるわけです。

 最後に、上司と部下との間にある考え方・捉え方のギャップを埋めていくことが組織運営では大切なポイントではないかと日頃強く感じています。そのためには、丁寧に面接を実施する必要があると思います。

 新年度に向けて、部下に期待することをしっかり伝えてください。 

《タレント性》

 10年以上前になりますが、グループの勉強会で講師の方が『人材、タレントこそ差別化の最大のポイントである』と話されました。以来そのことが私の頭の中にズットあります。

 タレントとは、一般的には【才能がある】とか【個性的である】の意味で使われます。芸能界では名詞として【芸能人】ということになるのだと思います。

 最近読んだ本から引用します。(蓬台浩明 著 社員をバーベキューに行かせよう)

 社員のタレント性について考えてみたいと思います。みなさんから必要とされ、愛される人間にするには、どうすればよいのでしょうか。

 タレント性があるということは、その人独自の個性や、内面的な魅力を評価した表現だと思います。その魅力を恒常的に発揮できるようになると、本当の意味でのタレントという意味になるのではないでしょうか。

 私たちの会社では、お客様から名指しで誘われ、一緒に釣りに行ったり、サーフィンに行ったり、キャンプに行ったりする社員が少なくありません。芸能人ではなくても、お客様に魅力を感じていただき、人気を得ているという意味では、立派なタレントであると評価してよいでしょう。

 タレント力を身につけるうえで、決して忘れてはならないことがあります。商品(自分)は、市場(他人)のためにあるということです。自分がなりたいものになるのではなくて、他人の期待に応えることです。これがタレント力の基本ではないでしょうか。

 私は無理強いをしない範囲で、こんな発想で会社を経営しています。厳しさと楽しさを持ち、常にお客様に感動を与えながら、成長し続ける社風をつくろうとしています。

※毎週一回必ず社内でバーベキューを実施している興味深い会社です。

 

《行動を改めない部下の指導》

 行動心理学の考え方の中に『ガスリーのコート』という話があります。

 まずは、質問です。

 子どもが外出先から帰ってくると、コートを掛けずにポーンとそこに放り出して出かけてしまいます。親のあなたとしては当然『コートを掛けなさい』と注意します。しかし子どもはその時だけ『ハーイ』と生返事をして、翌日学校から帰るとまた、コートを放り投げます。 
 さあ、あなたはこの子どもにどうやってコートを掛けさせますか?

 『叱りつける』『コートを掛けるまで外に出てはいけない、と言う』『コートを掛けるまでご飯を与えない』『コートを掛けたくなるような、かわいいキャラクターのハンガーを買ってあげる』等々いろんな意見が出そうですね。

 この場合の正解は次のようになります。

 子どもに放り出したコートを着せて、もう一度ドアの外に出して、改めて『ただいま』と言って入ってこさせる。
 つまり、まったく同じシーンを繰り返させ、コートをハンガーに掛けることができるまで、繰り返しトレーニングする、というのが《ガスリーのコート》の教訓なのです。

 無意識で行っていることを意識させて、行動習慣が変わるまで繰り返すことで身に着くのです。『言葉だけ』での指導とか、注意とかに気をつけないといけませんね。

《人事考課の要素》

 今日は、人事考課の評価基準となる実績評価と能力評価の評価要素の確認をしたいと思います。

【成果実績】
 1 目標達成度
 2 量的実績
 3 質的実績
 4 チャレンジP
 5 業績貢献度
【取組姿勢】
 1 規律態度
 2 協調性
 3 積極性
 4 責任感
 5 報連相
【能  力】
 1 実務知識
 2 理解力
 3 判断力
 4 技 術 
 5 企画力
 6 交渉力
 7 指導力
 8 判断決断力
 9 企画立案力
10 折衝渉外力
11 指導統率力

 以上のような要素を基準に、各等級ごとにウエイト調整をして人事考課に臨むことになりますが、絶対評価の視点・相対評価の視点と課題が残ります。

《信玄流人間洞察Ⅱ》

 前回は武田信玄流の人間分析について書きましたが、引き続き対応策について紹介したいと思います。

※人の話をうわの空で聞いている者
 そのまま放っておけば、良い部下も持てないし、また意見する者も出ない。一生懸命に尽くしてもそれに応えてくれないし、また意見をしても身にしみて聞かない。従ってこういう者に対しては、面と向かって直言するような者を脇につけることが必要だ。そうすれば、本人も自分の欠点に気づき、みずから改め、ひとかどの武士に育つはずだ。
※うつむいて人の話を身にしみて聞く者
 そのまま放っておいても立派な武士に育つ。
※うなずいたり、ニコニコしながら話を聞く者
 将来外交の仕事に向いている。調略の責務を与えれば、必ず成功するに違いない。ただ、仕事に成功するとすぐにいい気になる欠点がある。すると、権威高くなって、人に憎まれる可能性があるのでこのへんは注意が必要だ。
※途中で席を立つ者
 臆病か、あるいは心にやましいところがあるものだから、育てる者はその者が素直に、欠点をみずから告白して、気が楽になるようにしてやらなければならない。こういう者に対しては、責めるより温かく包んでやることが必要だ。

 長所に目を向けて、人を活かそうとしている姿勢が受け取れます。

 

《信玄流人間洞察》

 武田信玄の“人間の性格を知る方法”として、こんなエピソードがあります。

 信玄は、よく子供や若者を集めて合戦の話をするのが好きだった。それが耳学問として、やがて実際に合戦場に出たとき役立つと思うからである。いってみれば、実戦の前の理論講義のようなものだ。

 『合戦の話をするときに、四人の若者が聞いていたとする。聞き方がそれぞれ違う。一人は、口をあけたまま話し手である私をジッと見つめている。二番目は、私と目を合わせることなく、ややうつむいて耳だけを立てている。三番目は、話し手である私の顔を見ながら、時々うなずいたりニッコリ笑ったりする。四番目は、話の途中で席を立ちどこかに行ってしまう』

 こういうように相手の反応を見る信玄は、これらの聞き方によって次のように分析する。
※口をポカンとあけて私を見ている者
 話の内容がまったくわかっててない。注意散漫で、こういう人間は一人立ちできない。
※うつむいてジッと耳を立てている者
 視線を合わせることなく話しだけに集中しようと努力している証拠だ。今の武田家で活躍している連中のほとんどが、若い時にこのような話の聞き方をしたものだ。
※時々うなずいたりニコニコ笑ったりする者
 これは話の内容を受け止めるよりも、その社交性を誇示するほうに力が注がれている。従って、話の本質を完全にとらえる事ができない。
※話の途中で席を立ってしまう者
 臆病者か、あるいは自分に思い当たるところがあってそこをグサリと刺されたので、いたたまれなくなった証拠だ。

 武田信玄流の鋭い人間洞察力です。

《人事考課の手続き》

 人事考課のステップは次のように進めていきます。

第1ステップ
 人事考課シートに基づいて、自己評価を行います。

第2ステップ
 上司が1次考課を行います。各部下の行動記録簿を振り返りながら1次考課を決定します。目標評価を中心にしつつも、目標外の業務における貢献度なども考課することが必要です。

第3ステップ
 1次考課者同士で、その内容を突き合わせる、考課力調整会議を行います。1次考課者が集まり、お互いの評価結果を披露して、評価の根拠となる事実と判断を相互に吟味します。異論がある場合には、納得がいくまで議論を行います。この議論を通じて、評価の偏りを防止します。

第4ステップ
 2次考課が終わったら、部門ごとの甘辛を調整した上で考課結果を確定させ、最後に直属上司から部下に結果をフィードバックします。

 以上の手続きを通じて、組織としての考課を決定します。

《通信簿》

 通信簿に詳しい鳥取大の山根俊喜教授によると、通信簿は学校が児童生徒の学習状況などを家庭に伝える連絡手段として1890年前後から普及した。『通知表』『通信箋』などとも呼ばれ、戦前は【甲・乙・丙・丁】の4段階、国民学校では【優・良・可】が主流だった。

 その後、高度成長にかけて数字の5段階評価などが広く使われるようになる。だが、『数字が並ぶだけでは、学力の具体的な状況が分かりにくい』との批判があり、1970年代以降は各教科を数字で評価するだけでなく、【関心・意欲・理解力】といった観点別に、『よくできる』『できる』『もう少し』などの言葉で評価する方式が小学校を中心に広まった。

 2000年代に入ると、小学校の7割は観点別の評価だけを行い、中学校では観点別と数字による教科の評価を併せて行う方式が多くなった。名称は『あゆみ』など親しみやすい呼び方が定着した。

 『最近は、欠点ではなく良い点や進歩した点を強調する傾向にある』と、教育調査研究所の小島宏さんは話す。

 読売新聞の記事からご案内をしましたが、人事考課の参考になるような内容もありますね!

《みんな頑張ったという悪平等》

 『みんな頑張ったよね』というあいまいな評価しか下さないシステム。つまりエースとして頑張った人も褒めなければ、縁の下の力持ちとして頑張っている人も褒めず、皆の努力に“ただ乗り”していた人、足を引っ張っていた人までも含めて『みんな頑張った』と言ってまとめることが良いことであるかのような雰囲気ができあがっていく組織があります。

 『みんなよく頑張りました』ということを強調する組織の究極の姿は、表彰も叱責もできるだけ避けようとする姿勢が蔓延しているように感じます。長期雇用の組織では、ずっと一緒に仕事をしていくので、仕事の成果よりも人間関係の配慮が意識されすぎるきらいがあります。だから、誰かが良い仕事をしても『あまり褒めてしまうと、褒められなかった人ががっかりする。褒められなかった人の気持ちを考えるべきだ』といった弱者に対する配慮が強く出てしまうのかもしれません。まるで、小学校の運動会で順位をつけない光景をみるようです。

 企業はなんといっても経済組織体ですから、社員のため・株主のため・社会のため利益を上げなければなりません。その利益という目標に貢献する人々を、一番から順番にすべて並べるとまでは言いませんが、ある程度きちんと評価する必要があると考えます。

《人事の目》

 『非効率でも大切なこと』を

 “スターバックスコーヒージャパン”は、米シアトルを発祥とするコーヒーショップチェーンの日本法人です。今年5月、鳥取県内に初の店舗を開設し、国内の全都道府県に出店を果たしました。

 チェーンですが、店にはサービスに関する【マニュアルがありません】。当社は『人と人とのつながりを大切に』『自分の居場所のように感じてもらう』などを使命(ミッション)とし、これに従って、各店の従業員が話し合って何をすればよいか考え行動します。

 新入社員は入社後、全国各地の店舗に、店長の補佐役として配属されます。3年程度で店長になり、その後1~2年の経験を積むと、商品開発や販売戦略などを行う本社勤務の社内公募に応募できる資格を得ます。

 採用選考で力を入れるのが、特定のテーマについて集団で討論してもらうグループディスカッションです。人の声に耳を傾け、新たな発見や気づきが得られる人は、成長の伸びしろがあるとして評価します。

 鳥取に進出した時、メディアには大きく取り上げられました。でも、社内では進出を喜ぶより、店舗の前で長時間待っていただいたお客様のために、試飲のアイスコーヒーを配ったり、日よけを作ったりして、大変な思いを少しでも和らげる配慮ができたことに満足しました。

 従業員は、非効率でも大切だと思えることに時間を割こうという考え方を持っています。そんな価値観を共有できる人達と一緒に働きたいと思っています。

 人材開発部長 久保田美紀さんの談

 データ 
 ≪新卒採用 2015年  男15人  女26人≫
 ≪3年以内離職率 3.8%≫
 ≪平均勤続年数 男7年7ケ月  女5年1ケ月≫