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《とっくりセーター》

 あるデパートでの微笑ましいエピソードです。

 七十代くらいの女性が『うちのお父ちゃんに、とっくりセーターが欲しいんだけど、どこにある?』と店員に尋ねました。

 若い店員は『タートルネックのセーターですね』と返事をしています。そこに、ベテランの店員が間に入り『とっくりセーターでございますね。どうぞこちらです』と案内に立ちました。

 そして『とっくりセーターは暖かいから、ご主人様も喜ばれるでしょう』と、最後まで『とっくりセーター』とお客様に合わせていました。

 ベテラン店員は、正しい呼び方より、相手に合わせる方を選んで接客したのでした。きっとその女性も、気持ちよく買い物をすることができたでしょう。

 私たちも、時と場合に応じて、相手に合わせる配慮をしたいものです。

 ちなみに『とっくりセーター』とは、日本酒などを入れる徳利に形が似ていることから、かつて呼ばれていた呼び方です。

 ※ 職場の教養から

 

《障害がよいか・悪いか!》

 少し有名な、禅の話をご紹介します。

 雄馬を買ったばかりの農民が、禅師のもとに慌てふためいてやってきました。
 『禅匠、買ったばかりの馬がいなくなってしまいました!』
 すると禅師は
 『馬が逃げたのが、いいことか悪いことかはわからない』と答えました。
 農民は寂しく、みじめな気持ちで、仕事に戻りました。

 二日後、雄馬は二匹の雌馬を連れて戻ってきました。農民は小躍りしながら禅師のもとを訪れ
 『あの馬が二匹も馬を連れて戻ってきたんです』と報告すると
 禅師はまた
 『それがいいことか悪いことかはわからん』と言いました。

 三日後、農民は泣きながら、禅師のもとにやってきました。
 仕事を手伝ってくれるたった一人の息子が馬から落ちて足を折ってしまい、歩けなくなったのです。
 禅師は再び
 『それがいいことか悪いことかはわからない』と返事をしました。

 数日後、この土地の若者を戦争に徴兵するために、兵士の一団が農民の家にやってきました。
 しかし、彼の息子は足を折っていたので、戦争に駆り出されることはなかったのです。

 人生で不慮の事故に遭遇したとき
 『それがいいことか悪いことかは誰にもわからない』とつぶやいてみてはどうでしょうか!

《年の功》

 まずはこんなエピソードから

 私の妻の両親で、当時七〇歳だったハワードとジゼルは、ワシントンDCの地下鉄の駅から外に出たところで猛烈な吹雪に見舞われ立ち往生していました。二人はその日の夜、私たちの家で夕食をすることになっていました。駅から我が家まで歩くには遠すぎるのでタクシーを拾いたかったのですが、ラッシュアワーのため、まったくつかまりません。ハワードはクルマで迎えに来てほしいと電話をかけてきましたが、あいにく私も妻も渋滞に巻き込まれ、自宅にたどり着けないでいました。

 寒さで指がかじかんできた頃 ハワードは通りの向こうに湯気で窓を曇らせたピザ屋があることに気が付きました。彼は妻と積もった雪に足を取られながらやっとの思いで店に入り、カウンターでピザの宅配を注文しました。店員から宅配先を尋ねられたハワードは住所を告げて、こう付け加えました。

 『もうひとつ、お願いがあるんだけど・・・・』

 『なんでしょうか!』と店員が答えると、彼はこう言ったのです。

 『私たちもピザと一緒に宅配してもらえないかな!』

 そして、二人はその晩の夕食となるピザを抱えて我が家に到着しました。

 最近、脳について書かれている本を続けて読んでいますが、私たちの脳は、それまでの人生経験から編み出された様々な方法が蓄積されていて独創的な解決策を思いつくのですね。

 『いくつになっても、脳は若返る』素敵な言葉です。