月別アーカイブ: 2015年1月

《昭和の横綱大鵬》

 読売新聞 編集手帳より

 横綱大鵬は物言いのつくきわどい一番で平幕戸田に敗れ、連勝が『45』で途切れた。ビデオ判定が導入される前、1969年(昭和44年)の大阪場所である。

 テレビ中継のビデオでは、大鵬の足が土俵に残っている。勝っていた。『大変だ!誤審だ』と支度部屋に押し掛けた報道陣に大鵬は語ったという。『負けは仕方ない。横綱が物言いのつく相撲を取ってはいけない』勝負審判ではなく、あんな相撲を取った自分が悪いのだ、と・・・・。

 この初場所で大鵬の記録を超え、史上最多33度目の賜杯を手にしたのは横綱白鵬である。優勝を決めた13日目、大関稀勢の里との大一番には物言いがついた。行事の軍配は白鵬に上がったが、審判団が両者同体とみなして取り直しとなり、仕切り直しの末に手にした大記録である。

 『なぜ取り直しなのか。子供が見ても(自分が勝った)と分かる。審判部はもう少し緊張感を持ってほしい』千秋楽から一夜明けた昨日、白鵬が記者会見で勝負審判を批判したという。記録の上では相撲史の山頂を極めた人も、精神はまだ遥か下、山麓をさまよう途中らしい。好漢、自重せよ。

《価格を決めるのは誰》

 最近業界の月刊誌に“アダム・スミス”について書いた記事が掲載されていました。私も学生時代に少し学びましたが、国富論の中で提唱した“見えざる手”という言葉が有名です。これは市場経済において各個人の利己的な行動の集積が社会全体の利益をもたらす調整機能を表すという意味です。

 そこで、テーマの≪価格を決めるのは誰か≫ということになるわけですが、従前はマルクス経済学が主張する『商品の価値は、その商品を生産するのに必要な労働量によって決定する』という考え方が重視されていました。しかし、アダム・スミスは『価格を決めるのは、買い手と売り手の需給バランスで決まるのだ』と主張したのです。これが『見えざる手』です。
 
 ある商品を作るのに10日かかろうが、3日で出来あがろうが価格には関係ない。価格を決定するのは市場である。 欲しい人がどれだけいるのか? そのニーズを提供できる人がどれだけいるのか? その需給バランスによって価格と取引量が決定すると主張したのです。現代に生活するものとしては、シンプルで分かり易い考え方です。

 つまり、10日かけて作った商品でも、誰も必要としなければ、0円なのです。当たり前のことなのですが、『もし、市場があれば、自分の仕事の価格はどの位になるのだろう?』と考えてみるのも大切だと感じます。特に、制度ビジネスで報酬が一定額に決められているような場合には!

《ウソを見破ること》

 1月21日のNHKのスーパープレゼンテ―ションを興味深くみました。

 プレゼンテ―タ―は、ウソの見抜き方の本を書いて、企業コンサルタントをしているパメラ・メイヤーですが、彼女の話によると普段我々のまわりにはウソがたくさんあって、プロにはそれがウソだと分かるのだそうです。驚くことに、ある統計ではウソを一生懸命に探す必要のある警察官や弁護士といった職業の人は比較的幸せではないという結果が出ています。また、人間の幸せのためにはウソに隠された真実を知らないほうがいいという研究もあります。
 
 日本語には、建前と本音という言葉がありますが、建前というのは彼女の定義からすればウソになります。

 アメリカ社会では『正直さ』というのは、歴史的にみても重要な倫理観です。しかも最近のアメリカはテロ対策も含めて、セキュリティや犯罪に対する意識が非常に高まっています。現在のアメリカにおいてはタイムリーなプレゼンだったと思います。

 最近読んだ本『なぜ人は10分間に3回嘘をつくのか』では、3つの嘘のパターンにふれていました。
※『求められる嘘』 “私って、デブでブスなんです”  “そうですね” って言いますか!
※『怒られる嘘』
※『作為的な嘘』 金銭的な詐欺とか被害が発生する

 パメラ・メイヤーは正直であることを何度も強調していましたが、社会生活を円滑におくるためには建前も必要なのではないかと感じたのは私だけだったでしょうか。

《老後の生活費》

 読売新聞の記事より

 老後の生活費はどのくらいかかるのだろうか.総務省の家計調査(2013年)によると、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦二人の無職世帯では、毎月の消費支出は平均約24万2千円。食糧費が約6万円と4分の1を占めた。
 
 一方、年金などの収入から税金・社会保険料を差引いた可処分所得は平均で月約18万5千円。単純計算で約5万7千円の『赤字』となり、不足分は貯蓄の取崩し等で補てんしなければならない。

 仮に60歳で定年を迎え、夫婦2人で20年暮らすとすれば、トータルの出費は【24万2千円×12ヶ月×20年で約5800万円】さらに、趣味やレジャーも含めた“ゆとりのある老後生活”をおくる為には、月に35万4千円が必要とのデータもあり、その場合には、20年間の総支出額が約8500万円に膨らむ。

 今後も社会保障費の抑制で年金などの収入増は見込めない。老後の暮らしには相応の負担がかかることを頭に置いた上で、貯蓄も含めた生活設計を考えておきたい。

≪高齢世帯の平均支出月額≫
 食糧費    60,459
 住居費    16,628
 水道光熱費 20,587
 保険医療費 15,106
 交通通信費 25,327
 教養娯楽費 26,055
 交際費    31,612
 諸雑費    21,967
   合計   242,598

《マネジメント》

 P・ドラッカーはマネジメントに関して多くの本を書いていますが、ドラッカー流に言うとマネジメントとは【イノベーションと】【マーケティング】の二つに要約できるということになります。

 “マーケティング”とは、『サービスを利用して頂く方を増やしたり、商品を買って頂く方を増やす』という意味が有ります。私の勝手な解釈では、マーケティングは顧客の囲い込みでセールスは囲い込んだ顧客に技術・商品・サービスを購入して頂くことと定義付けをしています。セールスとマーケティングを分けて考えないと管理する時に混乱するので、あえてこのように解釈しています。

 一方の“イノベーション”ですが、2000年以降ずいぶんと耳にしました。こちらのほうは、『常にいろいろな経営環境に合わせて、物事を新規に変えていくこと』になります。外部環境の変化に如何に対応するか!ということです。

 要するに、ドラッカーは『マネジメントとは、マーケティングとイノベーションという二つの機能である。あとは語るに値しない』というようなことを言っているわけです。

 結論的に言えば、多くの人達に商品・技術・サービスの値打ちに気づいてもらい、受け入れて貰う活動をすることと、仕事を進める段階に応じて行わなければならない発想やアイディア、人の活用の仕方等いろいろなものが出てきますので、その都度考え方を進化させていくことが必要になります。

 SWОT分析の手法による、外部環境の変化予測と我社のリソース(強み資源)の把握がマネジメントには有効です。

《組織運営を考える》

 何らかの目的を実現する為に人々が集まった時に“組織”が形成されます。なんの目的もなく人々が集まった場合を“烏合の衆”と呼ぶのだそうです。

 今日は、組織と組織を構成する個人との関係・関わり方について考えてみたいと思いますが、私が新卒で就職して会社(組織)と関わりを持つようになって三十数年が経過しました。また、平成二年に独立開業して、組織・人事・マネジメントの勉強をしながらコンサルテーションを行うようになって二十数年になります。そのような経験を積む中で組織運営の発展段階には三段階あると感じています。

 第一段階は『服従と協力』です。アメリカ流の表現を使えばロイヤリティーということになるのでしょうか。規則・規律に忠実に従わせることで組織を運営していきます。社員に対しては、協調性や協力を強く求めることになります。

 第二段階は『組織への参加』です。コミットメントという言葉が世の中を一世風靡しました。チーム目標を達成する為に『あなたは何が出来るのですか』というアプローチ方法で組織への参画意識を高めました。

 そして今、第三段階は『組織との共生』です。新たな価値を共に創りだそうといった考え方です。ここでは『一緒に考える』といったアプローチ方法が取られることになります。まだ未完成の未来を皆で一緒に悩み考え形成することを大切にしています。

 現状では、以上で御案内したような手法を組み合わせながら組織運営を行っているケースが多いのだと思いますが、いずれにしても“トップの考え方”が組織運営に多大な影響を与えているといえます。

《ポジティブな側面に注目》

 『こうすれば組織は変えられる』 P・クライン著 より
 
 筆者はかつて、ある執筆サークルに入っていた。そのサークルでは、書いたものをメンバーたちに読んで聞かせ、感想を書くという活動を行っていた。感想は作者が具体的に尋ねた点についてのみ述べ、作者の側に聞きたいことが具体的にない場合は、メンバーたちは作品について良いと思ったことだけをコメントすることになっていた。

 ある時、九〇歳になる女性が自分の書いたエッセイを持ってきて読み上げた。それは実に拙ない文章で、小学四年生のレベルにも達していないものだった。それでも私たちはルールに従い、その作品の中からわずかながらでも褒められる点を見つけて指摘した。

 この女性は毎週、新しい作品を携えてミーティングに参加し続けた。彼女の文章はグングン上達していき、ほんの一カ月で、私たちが彼女に作品の出版を勧めるレベルにまで到達したのである。残念ながら、それが実現する前に彼女は亡くなってしまったが、彼女の驚くべき成長は、私たちに、適切な励ましを受ければ、人はたとえ何歳であっても急速に新たな能力を発展させることができる、ということを証明してくれたのだ。
  

《山本五十六の名言》

 『やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ』とは、山本五十六の人を動かす極意ですが、NLPの考え方にも似たようなものがありますので、ご案内したいと思います。

 例えば、あなたがプロセス行動についてチーム員に言葉やビデオを使用して説明をする必要があったとします。あなたは、そのプロセス行動をよく理解していて、チーム員に説明することには慣れているとします。そうした場合には、あなたが何らかのプロセスを説明する時には、通常頭の中で今自分が説明しているものを具体的にイメージしながら話をしているものです。

 しかし、説明者であるあなたの思考の組み立て方にあまりなじみのない聞き手のほうは、あなたの頭の中にあるイメージを共有することがナカナカ出来ないのです。そこで、あなたの頭の中にあるイメージを現実の世界で再現し、相手がそれを見て、自分自身が体験出来るようにすることはとても重要なポイントになります。

 私たちは、自分の体で体験するか、もしくは誰かが体験しているのを観察することで理解を深めることが可能となります。一度そのプロセスを体験することで、その体験を頭の中で再現できるようになり、そのレベルは講義やビデオでは達成できないほどのものとなるのです。

 人は、言語以外で実に93%もの情報処理をしていると言われます。目・耳・体感覚等もフルに活用できるような説明の方法を工夫してみましょう。

《明けましておめでとうございます》

 新年明けまして
        おめでとうございます!!

 元旦にいつも考えることが二つあります。
 一つは、年々一年の経過スピードが速く感じること!
 一つは、一年の計は元旦にあり!です。

 スピード感覚が速く感じるようになることに関しては『シャネの法則』を調べて頂くことにして“一年の計は元旦にあり”について考えてみましょう。平易な言葉で表現すれば、新たなスタートにあたり《目標設定》と《実行計画》を実施しましょう!ということだと思います。

 目標を設定した瞬間に、もう目標は実現したとは、よく言われます。人は“テレオロジカル”(目的志向)な生きものだ、等とも言われます。このようなことは、目標を持つことの大切さを教えてくれていますが、義務感ややらされ感ではない、自分の実現したいことを是非とも目標設定したいものです。

 《実行計画》については、目標を設定した時点で思いつくものを描き出しておけばよいのだと思います。目標達成へのプロセスですから、追加・修正を随時加えていくものではないでしょうか!《実行計画》どおりにやらなければならないということではないと考えます。あくまでも一つの仮説として計画したものですから、軌道修正は必要になるのです。

 上杉鷹山は、藩の改革をめざした時に春日神社と白子神社に誓文を奉納しています。これはいわば政策目標を誓ったものです。