月別アーカイブ: 2014年5月

《win:winを考える》

 7つの習慣より

 次の例は、正式な人事考課制度を導入しようとしていた企業である。

 その会社の人事部長は、あるマネージャーへの評価点に不満を持っていた。『このマネージャーの評価はBが妥当なのですが、S評価をつけなくちゃいけない』と彼は言った。S評価は最高レベルの評定であり、昇進の権利がある優秀な社員ということだ。
『なぜなんです?』私は聞いた。
『好成績をあげているからですよ』
『それならS評価をつけてもよいのでは?』
『彼のやり方が問題なんです。人間関係で何かと問題を起こしているトラブルメーカーなんですよ』
『どうやら成果しか眼中にない人物のようですね。そういう人物に最高の評定というのは、確かに納得はいきませんよね。どうですか、彼と話し合って成果だけではなくて、態度の大切さも教えてあげたら!』

 人事部長が言うには、とっくに話はしてみたものの、効果はなかったという。
『それなら、win:win実行協定を結んでみるのはどうでしょうか。評価の基準は成果を半分、残りの半分は部下や同僚からどのように見られているかを基準にする。リーダーシップ・人材育成・チームづくりの視点で評価すればいい』
『そうか、それなら彼も聞く耳を持つだろう』

 多くの場合、問題があるのは人ではなくシステムのほうである。いくら優秀な人材でも、悪いシステムに入れたら悪い結果しか出てこないのである。

※構築時点ではベストの制度であっても、時間の経過・環境の変化によって、いろんな問題が出てきます。定期的なメンテナンスの重要性を私は感じました。

《目標設定について》

 今日は、NLPの考え方での目標設定について書いてみます。

≪適切な目標の4つのポイント≫
※ビジョン
 自分の目標を『~でありたくない』という否定型ではなく、『~でありたい』という肯定型で表現すること。
『太っていると身体に悪い』⇒『スマートになって素敵な洋服を着たい』
『偏頭痛になりたくない』⇒『偏頭痛から解放されたい』
『負けたくない』⇒『勝ちたい』

※明確な標識
 では、その目標を達成できたとして、どうやって、そのことを知ればいいのでしょう!目標の達成を自分自身で判断するためには、客観的で具体的な達成の基準を作らなければなりません。

※実現の可能性
 あなたの立てた目標は、普通の人にも実現できそうな目標だろうか。それは自分の手に負える範囲の、自分にふさわしいと思える目標だろうか。
 たとえば、もし私が身長156cmなのに、『バスケットボールのスーパースターになれないかもしれない』という『失敗への恐れ』を克服しようとしても、それはうまくいかないでしょう。本人の意志でなんとかできる範囲での目標設定に変えるべきです。

※一貫性の確認
 自分自身のなかに、変化を拒む気持ちは残ってないですか。それを確認するために、自分の身体の声に耳を傾けてみましょう。自分のなかに変化を拒否する第二感情があれば、それは不安感や不快感の形をとって現れるはずです。この場合、自分の第二感情と丁寧に向き合って問題を解消する方法を考えなければなりません。

《ミッション・ステートメント》

 十数年ぶりに再出版された“7つの習慣”を読んでいますが、今日はミッション・ステートメントについてご案内します。

 ある人のミッション・ステートメント
※まず家庭で成功しよう。
※どんなことがあっても正直でいよう。
※お世話になった人たちの恩を忘れずにいよう。
※毎年何か一つ新しいことを身につけよう。
※明日の仕事は今日計画しよう。
※待ち時間を有意義に使おう。
※常に前向きな姿勢でいよう。
※職場でも家でも規律正しくしよう。
※部下の成功を助けよう。
※自分の話す二倍の時間、人の話を聴こう。

 ミッション・ステートメントがあれば、変化に対応しながら生活できる。予断や偏見を持たずに現実を直視できる。周りの人々や出来事を型にはめずに、現実をありのままに受け止めることができるようになる。
 あなたが自分の人生におけるミッションを見いだし、意識できれば、あなたの内面に主体性の本質ができる。人生を方向づけるビジョンと価値観ができ、それに従って長期的・短期的な目標を立てることができる。個人のミッション・ステートメントは、正しい原則を土台とした個人の成文憲法である。この憲法に照らして、自分の時間、才能、労力を効果的に活用できているかどうかを判断することができるのだ。

 スティーブン・コピー『7つの習慣より』

《仕組みを壊せ》

 社内に仕組みは必要です。
 しかし『間違った仕組み、ヘタな仕組み』は有能者をつぶすことになります。

 会社は学校ではありません。お客様に喜んでいただくことで利益を上げ、その利益を社員、株主、会社といったステークホルダーに分配する。レベルが高ければ高いほど、利益が上がり、いい貢献ができる。

 しかし、この流れを妨げるのが『間違った仕組み、ヘタな仕組み』です。
 人はいろんな仕組みを作りたがり、色々な情報を欲しがり、いらないものをたくさんつくる傾向がある。特に、失敗を恐れる人は、失敗しないようにいろんな仕組みをつくるのです。そして、これらの仕組みはたいてい能力の低い人にあわせて作るために、有能な人にとってじゃまである場合が多いのです。

 困ったことに、一度作った仕組みは、なかなか壊すことができない。その仕組みをなくして、たまたま失敗が起きると『何故なくしたのか』と上司に叩かれる。
 すると、触らぬ神に祟りなし、と無駄をなくすことをやめてしまう。こうして作業効率の悪い事務作業の負担ばかりが増えてしまうことになるのです。

 レベルの低い人に合わせて仕事の仕組みをつくるのではなく、出来る人に合わせて仕事の仕組みをつくることが大切です。
 他にも、複雑な仕組みをつくっているが、実はもっと簡単な仕組みでいいという箇所はないでしょうか。簡単にやれば10秒ですむようなことを、回りくどい仕組みにつくり過ぎてはいないですか。
 あなたの仕事でも一度じっくり考えてみてください。

 

《能力給って?》

 能力給とは、本人の職務上の肩書で給与区分を決めるのではなく、本人がどれだけのスキルを持っているか、あるいはどれだけ多くの仕事ができるかを基準に給与水準を決めることです。

 能力給の魅力はなんでしょうか! 経営者の立場からすると、柔軟性があるということでしょうか。能力レベルに応じた等級管理を行うことで、同レベルの社員の交換・配置転換が容易にできます。また、能力給は社員にとっては広範囲のスキルを習得したいという意欲をかりたてるものになります。昇給・昇格・昇進等が比較的明確になっていますので、野心があっても昇進のチャンスがほとんどない人の欲求を満たす助けにもなります。

 逆に欠点は何でしょうか! 『頂上に昇りつめてしまう』人がいることです。能力給に必要となるあらゆるスキルを学んでしまい欲求不満に陥ってしまうのです。いわゆる“ピーターの法則”が働いてしまいます。

 従って、給与体系をデザインする際には≪能力≫ ≪役割≫ ≪業績≫がバランスよく反映できる制度に留意したいものです。

《賃金制度の構築》

 賃金制度構築のポイントは『属人給部分の廃止・縮小』です。属人給とは『成果や能力に関係のない、人の属性に関する要素で決まる賃金』のことです。具体的には、年齢給・年功給・家族手当・住宅手当等になります。また、学歴や男女の区別も今日では必要ではありません。

 これらの要素を極力廃止・縮小して、基本給部分は職務・職責の大きさで決まるように設計します。本給、昇格給、役職手当等でコントロールすることになりますが、貢献度に応じて賞与はポイント式を採用しダイナミックに差が出るようにします。
 
 以前から、成果型賃金か職能型賃金かというような議論がありますが、中小企業の場合には大企業の事例や人事制度の教科書に惑わされずに自社にとって最も有効な賃金制度をオーダーメイドで構築すればよろしいと思います。

 あえてもう一言付け加えれば、これから20年も30年も今構築した人事制度を使い続けるという会社はないでしょう。賃金制度は会社の変化に応じて刻々と変化するのです。ですから、どのようにも変化できるような柔軟な弾力性のある制度内容にしておくことのほうが大切です。