月別アーカイブ: 2013年6月

《ライフサイクルと経営戦略》

 今から三十年以上前に出版された『競争の戦略』M・E・ポーター著は、現在においても極めて参考になる戦略の視点を示しているが、今日は『ライフサイクル』の視点から少しまとめてみます。

 まずは、ライフサイクル四段階における『組織人材』
※導入期
 起業家・長期的視野をもった創造力あふれる人材
※成長期
 実務家・短期的視野に立ったアイディアを具現化する人材
※成熟期
 管理者・業務のシステム化や効率重視の人材
※衰退期
 まとめ役・問題解決能力にすぐれた人材

 次に、『全体的な戦略』
※導入期
 マーケットシェア拡大
 研究・開発とエンジニアリングが決め手
※成長期
 価格変更・品質イメージ変更
 マーケティングが決め手
※成熟期
 マーケットシェア見直し
 コスト競争力
 価格・品質イメージを変えない
 マーケティングの効率が決め手
※衰退期
 コストコントロールが決め手

 私は『外部環境の変化に合わせて戦略(打ち手)を変えていく』という考え方に驚かされた本でした。

《スキル重視から、EQ重視へ》

 サービスには、二つあります。
※スキル(技術)
※EQ(感性・意識)

 この二つのうちどちらが大事かという話は、現場ではよく起こります。
 ベテランスタッフが『どんなに感性が高くても、スキルがなければ意味がない』 『大事なのは、まずスキルだ』と言った時、あなたはどう考えますか?
 ここで『たしかにそうだな』と言ってはいけません。
 ここで迷ってはダメです。
 サービスにおいて大事なことは、スキルよりも、感性・意識の高さです。
 社員研修での最も大事なポイントは、自分のスキルを変えるのではなく、自分の感性・意識を変えることです。
 そう言われても、やっぱりスキルが大事だと思うかもしれません。
 
 例えばあなたの仕事が介護サービスだとすると、あなたの仕事は、身体介護でも家事援助でもありません。
 『こころの介護であり、こころの援助』です。身体介護、家事援助は、あくまでもその手段にすぎません。
 手段と目的を間違えてはいけません。
 
 お客様へのサービスとは、お客様に何か技術的にしてあげることではありません。
 お客様のこころをハッピーにすることが目的です。

《二者択一で早い結論を》

 勉強しても怒られる、しなくても怒られる。家庭内のコミュニケーションが常に八方ふさがりだと、育った人間に心理的影響を与えるとイギリスの研究家グレゴリ―・ベイトソンが1956年に発表。
 それをミルトン・エリクソンが催眠療法用に拡大させたのが『ダブル・バインド』という会話法です。訳すと『二重拘束』ですが、ネガティブな意味はないので、【二者択一を迫って早く結論を】というときにお勧めです。
 ポイントは、お願いしないこと。
『この指輪をお買いになりますか?』ではなく、『プレゼント包装にします?それとも自宅用?』
『いつかお家におじゃましたい』ではなく、『明日近くまで行くのだけれど、2時と5時、どちらが都合がいい?』
『週末は部屋の掃除してね』ではなく、『土曜と日曜、どの日に掃除する?』
『コピーを100部お願い』ではなく、『コピー100部だと、今日中、明日の午前中、どっちが確実?』
 限定した条件のなかで、二つの選択肢を用意し、『ノ―』というひと言ですまされなくしてしまう会話のトリックです。

『デートしよう』ではなく、『食事に行く?それとも飲みに行く?』
もしも『ちょっと時間が無くて』と言われたら、『じゃ、お茶だけでも軽く行こうよ』と言えばさらに選択肢が広がります。

“ザ・メンタリズム”  DaiGo著 より

《育成目標作り》

 職場における人材育成は、実務を通しての積み重ね指導であるだけに、明確な目標の設定が欠かせない。また、その目標は結果が明確にイメージできることが必要であり、あまり長すぎない方が良い。とは言っても目標であるからには挑戦的で、かつ努力して達成感が味わえる程度の困難度も欠かせず、それには短すぎてもその場しのぎになってしまうので適切とは言えない。
 このような条件を勘案すると中期目標を2年、短期目標は1年とし、中間目標を3ヶ月毎にするのが適切と考える。中間目標を3ヶ月にする理由は当面の取組で一定の目標レベルに到達できると部下は自己の成長を確認でき、1年後の目標を目指して次の3ヶ月課題への挑戦意欲を湧かせるのに適度なサイクルを作り出せるからである。
 また昇給や昇格などの人事評価など制度上のサイクルとも一致して、相乗効果も期待できるからである。さらにこの中短二段構えの目標設定をすると、1年で当面の目標を達成できたとしてもそれで終わりではなく、その先の中期目標を意識して次の1年の継続的な計画に基づく育成指導ができるのである。
 目標作りの進め方としては、話し合いの余地の少ない新人の場合を除き、管理者が大枠を示し、それをもとに管理者と部下が話し合って内容を詰めるスタイルをとると良い。このような話し合いを持つことによって部下とのコミュニケーションが進み、管理者が望んでいることや、反対に部下が考えていることなどを相互に伝えあうことができる。
 管理者が部下育成目標を作ることによって単に部下のためだけではなく、管理者自身が部下の育成を明確に意識できるようになり、プロ管理者としての活動を広げるきっかけともなる。

《3%コストダウンより30%ダウンのほうが簡単》

 『ちまちました節約よりも、どかーんと節約したほうが簡単だ』
 ビジネスの世界では、3%や5%のコスト削減は難しいが、30%のコスト削減は意外に簡単だと言われてます。
 3%のコスト削減というのは、現状の枠組みの中からムダなコストを見つけて改善していく、非常に細かい作業です。単にコスト削減というと、ケチケチ運動みたいになり社内の雰囲気も悪くなるので、上手に実行しないと、逆効果になったりします。
 ある上場企業でトイレに備えつけている手を拭く紙を廃止するかどうか議論していたところ、業を煮やした部長が『そんなことを気にするような利益しか出ていない商売なぞ止めてしまえ!』と怒鳴ったことがあるそうです。
一方、30%のコスト削減であれば、仕事のやり方を抜本的に変える必要があります。これは、現状の枠組みを壊さないと達成できないですし、逆に言えば、現状の枠組みを壊して新しい枠組みをつくれば、30%のコストダウンはそれほど難しくない、ということになります。
 先日、『ガイアの夜明け』というテレビ番組で三菱自動車と日産自動車の軽自動車共同開発を放送していましたが、部品輸送のコストダウンを検討する場面がありました。三菱流のやり方だと、部品を1ケースに4台入れて運ぶことが出来るのですが日産の技術者たちは同じキャパシティーの容器に6台入れることを発見しました。まさに30%超のコストダウンになります。実に単純な方法でしたが、従来の枠組みに固執していると発見できないと感じました。
 ケチケチ作戦を否定するものではありませんが、大きなところを基本的に見直す必要性を感じています。

《アスペルガ―症候群》

 こんな記事を見かけました。

 これほどヒドイとは思いませんでした。職場の責任者が困ってしまい、これでは彼を使う為にもう一人指導者が必要になる。一人欠員になってもいいから彼を引き取ってくれと言ってきています。(アスペルガ―症候群とは、相手の感情や気持ちを読み取ることができず、コミュニケーションに問題が生ずる発達障害のこと)
 問題の彼は、新卒で定期採用されました。大卒で成績も特に悪くなかったので採用しました。あとから考えると少し対応に違和感があったのですが、人手不足でもあったので採用したのです。
 三ヶ月の試用期間がありましたが、服務規律違反もなく本採用にしてしまったのが実態です。職場の責任者が近くの病院に連れて行きましたが、専門医でないと確かな事は分からないということで、今まで時間が過ぎてしまい、頭を抱えています。

 私が、アスペルガ―症候群のことを知ったのは昨年の夏でした。久しぶりに大学の親友とお酒をかわしながら話をしていた時に、彼の長男がアスペルガ―であることを聞きました。私には初めて耳にする言葉だったのですが、長男は普通に高校に通学していて知能の方は問題がないようでした。症状としては【何か一つのことに夢中になって他のことが見えなくなってしまうそうです。長男の場合はゲーム】誰でも、何かにのめり込んで夢中になって我を忘れることがあるのだとは思いますが、その状態が少し強いのだと思います。
 最近私も、現場で研修や個別面接を通じて【アスペルガ―】かな?と感じる方々にお会いすることがあります。教育・環境、何がそうさせるのかは分かりませんが、難しい時代に入ってきました。
 商品を製造するのも
 サービスを提供するのも
 商品を販売するのも
 人 です!!    人を継続的に教育・育成することが求められています。

《二人の石切り職人》

 モチベーションの話の中でよく使われる寓話をご紹介します。

 旅人が、ある町を通りかかりました。
 その町では、新しい教会が建設されているとこであり、
 建設現場では、『二人の石切り職人』が働いていました。

 その仕事に興味を持った旅人は、
 一人の石切り職人に聞きました。

『あなたは、何をしているのですか』

 その問いに対して、石切り職人は、
 不愉快そうな表情を浮かべ、
 ぶっきらぼうに答えました。

『このいまいましい石を切るために
 悪戦苦闘しているのさ』

 そこで、旅人は、
 もう一人の石切り職人に、
 同じことを聞きました。

 すると、その石切り職人は、
 表情を輝かせ、生き生きとした声で、
 こう答えたのです。

『ええ、いま、私は、
 多くの人々の心の安らぎの場となる
 素晴らしい教会を造っているのです』

 この寓話を読んでどのように感じますか!
 対照的な二人の石切り職人の違いは何なのでしょうか!

 色んなことを考えさせられます。 

《子は親の鏡》

けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子ども不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持になる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子にはならない
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
やさしく、思いやりを持って育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、
子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる

    『ドロシー・ロー・ノルトの詩より』