月別アーカイブ: 2012年3月

《能力ある者ができるのではない!》

 【保持能力】と【発揮能力】について考えてみたい。

 社内では、『そろそろ俺も課長にしてもらっていいだろう。当然その程度の能力はあるし、昇格基準も満たしているはずだ。』このような声が時々聞かれます。一方経営者からは『昇格だ・昇進だとこんな話をいくらしてもみても、船は進まないし、会社が良くなるはずがない。我々中小企業では、一人ひとりがどれだけの実績を上げたかが問題だ。皆の能力が上がり上へ上へと昇格していったが、船が沈んでしまったというのでは話にならない。』と言われる。
 全くその通りである。成果実績主義の成績評価の思想そのものであり、全く異存はない。ただし、制度的に階層があって上位階層への昇格の道が示されており、一つのリワードとして機能していることも事実である。
 【保持能力】能力があり技術資格や国家資格があることそれ自体が評価される。人の潜在能力は比べようがないし、比較もできない。協調性や積極性、責任感もそれ自体では意味がない。【発揮能力】それらの能力があったがために、どれだけの成果・実績を残したのかが問題なのだと思います。
 
 ①能力がある者      ⇒ 成果・実績を上げてくれるはずだ。
 ②成果・実績を上げた者 ⇒ 確かに実力を持っている。

 中小企業では、②の立場での成果実績中心の実力主義でいかざるを得ない。そして、《結果の平等ではなく、チャンスの平等》と唱えています。このような立場にたつ会社が、永続と成長を勝ち取るのだと考えます。

《人事考課・指定席と既得権》

 【評価はいつも同じです】
 社員サイドの会社批判や上司批判とは反対に、会社幹部に社員の評価を尋ねると『成績評価はいつも同じですよ。良い者はいつも良いし、ダメな者はいつもダメですよ』と言われる。多くの会社で同様で似たような話がよく出てくる。考課者訓練でお伺いしても、皆さん同様に感じているようだ。
 成績評価の弊害として、一番心配されるのがこれである。いつも、成績の良いAクラスの者のグループが固定され、これが『上司からの覚えが良い連中』と映り、一方でワンランク落ちるCクラスのグループが固定され、これが『覚えの悪い連中』と映っているとするならば、大変である。
 Aクラスの『上司の覚えの良い』方は、多少の失敗や成績ダウンがあったとしても、【今回もまたA評価をもらえるはずだ】と《既得権意識》を持つようになり、上司も評価を下げるとやる気をなくしたり、ヘタをして退社といったことも困るのでA評価を続けることになる。
 Cクラスの『覚えの悪い』方は、【どうせ少々頑張っても評価が変わるはずがない】と思い込み、半分あきらめ気味ですし、上司の方もつけにくいC・Dの評価は、今までの実績のあるメンバーのほうが心理的にもつけやすいので、徐々に《指定席》が固まってくる。
 成績評価にシード権はないですし、終身A会員もありません。毎期毎期ご破算でその期の実績に応じて評価してもらいたいし、実力主義給与体系での昇格に際しては、一度標準に戻してから改めて上位等級での基準がBかAか、あるいはCなのかを判断して頂きたい。
 入れ替えのない世界は面白くないし、入れ替わりのチャンスがあると思うから頑張れるのです。係長でAだった者が課長クラスに昇格してBになったとしても当たり前な話で、それでも上出来である。
 『実力給と業績年俸制のすすめ』より 

《メンタルヘルス》を考える

 メンタルヘルスに関する記事が紙面を賑わせるようになって大分なりますが、今日は『メンタルヘルスのチェックポイント』をご案内したいと思います。

 【チェックポイント】
※慢性的な長時間残業(月80時間以上)が続いている。
※勤務シフトが昼夜逆転しているなど、体調管理が難しい。
※作業環境が高温多湿・酷寒など劣悪である。
※重たい荷物を運ぶ作業や力仕事など、慢性的な重労働が続き、身体への負担が大きい。
※ハラスメントを繰返す社員がいたり、いじめが頻発している。
※トラブルメーカーの社員に振り回されていたり、人の入れ替えがはげしい。
※本人の適性を無視した配置転換が常態化している。
※リストラ・組織変更などが頻繁に繰り返されている。
※性別によって処遇が異なるなど不公平な処遇が常態化している。
※常に実現不可能なノルマが課されている。
※評価制度が機能しておらず、組織の方向性も不明瞭である。
※業務の裁量の幅が狭く、発展性がない。
※本人の意向を無視した転勤、出向、解雇などが繰り返されている。
※顧客等から無茶な要求やクレーム、罵声や叱責を受ける機会が多い。
※違法行為を強要されることがある。
※人の命にかかわる仕事など、常に大きな緊張感にさらされている。
※一歩間違えば大きな事故につながるなど仕事の責任が非常に重い。
※常に締め切りに追われ、余裕がない状態が続いている。
※慢性的に忙しく、有給休暇がまったく取得できない状況である。

 名古屋市のホームページから抜粋しました。
 以上のような要因を少しでも減らすことが、ヘルス不調を防ぐ組織対策につながっていくものと思います。

《人生相談の記事より》

 人生相談の記事に次のようなものがありました。

 【大学合格後、やる気が出ない】 千葉県 J子
 この春大学に入学した女子です。昨年秋に指定校推薦で大学合格が決まってから、勉強に対するやる気や集中力がなくなってしまいました。
 合格するまでは目標に向かってこつこつと勉強を続けてきたのに、合格後は糸がプツンと切れたようにやる気を失い、だらける癖がついてしまいました。その後、卒業するまでは部活動もないし、友達は一般受験だったので、一緒に遊ぶこともできませんでした。
 入学したのは、医療系の資格を目指す大学です。資格取得に向かって勉強しなくてはと思っているのですが、なかなか行動に移せません。
 今の私には、毎日勉強する以外に予定がなく、生活にメリハリがないのが、やる気の出ない原因だと思います。でも、こうゆう時にどうやって気分転換をすれば、また効率よく勉強勉強できるようになるのか、よくわかりません。夜もいろいろ考えてしまって良く眠れず、自分が嫌になります。

 この相談に対する回答もあるのですが、今回は以前新聞に投稿のあった記事から御案内します。

【五月病防止】
 私が就職した時、新人担当の先輩から、『三ヶ月ごとに仕事の目標を立ててみて』とアドバイスされました。証券会社の営業担当だった私は、自分が扱う商品の知識を七月まで習得することを最初の目標にしました。
 ポイントは達成できそうな目標を選ぶこと。肩ひじ張らずに取り組めば、【五月病】にもなりません。その後も先輩のセールストークを自分のものにする、お客さんの顔を覚える、などを目標にしました。
 自然と会社にも慣れ、気づいたら自分が新人を迎える時期になっていました。

 二つの新聞の投稿を起債してみましたが、【目標を持つことの大切さ】が良く理解できます。

《大往生したけりゃ医療とかかわるな》

 最近、『大往生したけりゃ医療とかかわるな』中村仁一著 という本を読みました。新聞の広告欄をみて購入したのですが、なかなか興味深いことが書いてあり一気に読み終わりました。

 著者である中村仁一さんは、財団法人高尾病院病院長・理事長を経て、現在は特別養護老人ホーム同和園の勤務医をされています。私も、医療・福祉法人のお客様の研修等を実施していますので、『うなずく』場面が多々ありました。
 例えば・・・・  死に際の苦しみには医療による【虐待】ばかりではありません。介護による【拷問】もあるのです。それも、良い看取りを行っていると自負のある介護施設で起こりがちなのです。
 医療・福祉の鉄則 《死にゆく自然の過程を邪魔しない》 《死にゆく人間に無用の苦痛を与えてはならない》ということです。
 例を挙げれば、死が迫ってきて食欲の落ちてきたお爺さんに、家族はカロリーの高いものを食べさせようと努力します。しかし、少量でカロリーの高い食べものの、口あたりはどうなのでしょうか。また、少量で高カロリーの食べものといえば、脂肪の含有量が多く、油っこいのではないでしょうか。無理やりに死にかけの病人の口の中に押し込むのは、どうなのでしょう。介護職員にピタリと横にはりつかれて、次から次へと口の中に放り込まれます。少しでもカロリーの高いものを食べてもらおうという優しい心遣いが裏目に出て、ひどい苦しみを与えることになるのです。
 死に際には、飲み込む力も弱ってきます。しかし、心やさしい介護職員は一口でも一匙でもと使命感に燃えて涙ぐましい努力をします。その結果、のど元にものが溜まってゴロゴロと音がして苦しみます。そうすると、鼻から管を入れて、それを吸い取る『吸引』という荒技を施さなければいけません。これば、死にゆく人間を二重に苦しめることになっているのですが、職員にはあまりその感覚はないようです。

 昨年末、『胃瘻』(お腹に穴を開けて、そこからチューブを通じて水分・栄養を補給する)処置に関しての国の考え方が記事になっていましたね。『生きること』 『生かされること』について考えさせられます。
 
 
 

《マインドマップ》

 私は、マインドマップの手法を数年前に【トニープザン】の本を読んで知りました。最近、新聞に『マインドマップ』についての投稿がありました。色々な使い方があるな!と思いましたので、御紹介してみます。

 七〇歳代後半から『マインドマップ』を書き始めて3年になる。マインドマップとは、ものごとの関連づけや発想の広がりを、イラストや文字で視覚的に表現するもので、教育現場でも活用する動きがあるようだ。
 例えば私の場合、チラシの裏の真ん中に四角を書いて、中に『外出時の持ち物』と書いてみる。そして四角から樹形図のように何本か枝を出す。枝に【老眼鏡】【補聴器】などと文字や絵をかく。【補聴器】からさらに一本、枝を出して【電池】と書き入れる。この紙を壁に貼っておくと忘れ物予防にもなる。
 『今日のスケジュール』『私の夢』『趣味』などテーマは何でもいい。人に見せるわけではないし、自分の心を飾らず素直に紙に書けばいいのだ。それだけで、心が楽になってストレス解消にもなる。
 あれもこれもと頭の中がパンクしそうになったらマインドマップ。私にとって手軽な心の整理法である。  横浜市 田中郁子様投稿
 
 私が『マインドマップ』を使用する場面は、セミナーです。2時間程度の講義の内容・順番・ポイント等をマインドマップにまとめてから臨むことが多いです。目で全体が一覧できるので進捗状況・次の話す内容等が把握できてとても便利です。ノートとかメモをマインドマップ形式でまとめている方もいらしゃいますね!色々な可能性に挑戦してみてはいかがでしょうか。

《震災から一年が経過しました》

 先週は、ずっと研修を実施しておりました。終わってから本を少し読んでいたのですが、【小澤征爾さんと音楽について話をする】村上春樹著です。
 たまたま対談の中で小澤征爾さんが、自分が日本で音響が一番良いと思っているコンサートホールについて語っている場面があります。そのホールというのが、『墨田トリフォニ―ホール』だったのです。最近コンサートに出かけることもなくなったせいもあり、ちょっと興味があったので『墨田トリフォ二―』をネットで調べたりして帰宅しました。【墨田トリフォニ―を私は知りませんでした】
 帰宅後テレビを見ていたら、3・11の特集だったのです。そして、その特番が三月11日の『墨田トリフォニ―』でのコンサートの様子だったんですね。新日本フィルのコンサートで『マーラーの5番』でした。チケットは、1800枚完売で当日ホールに来た観客は105名。震災にあってからコンサートを開催するという決断をし、コンサートが開始してから終了するまでのドキュメンタリーでした。
 演奏は、言葉で表現するには難しいのですが、とても素晴らしく感じました。観客のインタビュー等もあったり、妙なシンクロがあったりと色んな事を考え、感じた番組でした。
 たまには、クラシックのコンサートもいいかな!と思った1日でした。
 先日、気仙沼のお客様に出かけてきたのですが、まだ駅前に大きな船がそのままになっていました。早急な復興が望まれます。なんとかならないものでしょうか!

《教育産業とは》

 数年前になるでしょうか!賃金総研グループの勉強会で講師の方が『飲食業は教育産業なんです』とおしゃられたのですが、私は『教育産業』ということの意味がよく分かりませんでした。後で、【調理する人で美味しくなったり、まずくなったり】【接客する人によって喜ばれたり、不満をもたれたり】と『人』によって商品のクオリティーや価値にブレが生じてしまうことを指しているのだな!ということを理解しました。
 
 興味深いことは、労働集約的な『飲食業』『介護の現場』『医療の現場』等では、その組織の『人の差』が店・施設・会社の差に直接つながるとということです。【人が伸びれば組織が伸び】【人が成長すれば組織も成長する】いわば、『人の力』が成功と失敗を決定するのです。
 
 【人を伸ばす】【人を成長させる】【人を育てる】ということに本気で取り組む必要が有るかと思いますが、まずは弊社が提案をしていることは《スキルマトリックスシート》を使用しての自己評価、上司評価を定期的に実施することです。通常人事考課は年に二回行っているところが多いと思いますが、毎月評価を実施します。半年分の評価結果を人事考課にも使用しますが、目的は毎月チェックをすることで確実に自分のものとして身につけて頂くことです。

 再度確認をするならば、人事考課制度の目的は《我が組織の望む人材を育成すること》に有るわけですから、『査定』とか『選別』とか『差をつける』といったような誤った方向へ向かわないことを切に希望しています。