月別アーカイブ: 2011年11月

《人事は評価にはじまり、評価に終わる》Ⅲ

 引き続き『新・実力給と業績年俸制のすすめ』より人事評価制度について書きます。

 ここでは、中堅中小企業の評価制度をどうするかをテーマとして考えていきたい。今の今でも、中堅中小企業の人事スタッフや役員の中に、大きなジレンマが残っている。それは、『職務分析』をやらないと等級制度が組めないという考え方であり、また、その等級に応じた『能力評価』を『絶対評価』としてやらなければならないという『呪縛』に今でもとりつかれていることである。

 この『呪縛』を早く断ち切って頂きたいし、理論的な?『うしろめたさ』も一掃してもらいたい。新しい原理原則に立ってもらいたいところである。

 あまりにも環境変化が激しいし、取扱い商品も、生産工程も変更につぐ変更が重ねられ、その変化のスピードは増すばかりである。三年ひと昔が一年ひと昔の急激なスピードで社内外の環境が変化している。このような中で、中堅中小企業は、新しい実力主義の考え方に立つべきであろう。それは、成果実績中心の実力主義である。

①能力がある者は実績をあげるはずだ。
②成果実績をあげた者は実力があるはずだ。

 中堅中小企業では、②の考え方に立たないと生きていけない。『職務分析の研究』や『能力評価の研究』の成果は、大いに活用させてもらいながな、『成果実績中心主義』を最重視していきたい。その方法としては、年二回の実績評価を先行させ、その実績評価をふまえて、能力評価を行うやり方を大事にするということである。『分析的能力評価から成果実績主義による実力評価へ』というのが大原則である。極論をすれば、年二回の実績評価だけを行い、能力評価はスキップしてもいいくらいである。

 次回に続く。

《人事は評価にはじまり、評価に終わる》Ⅱ

 前回に引き続き『新・実力給と業績年俸制のすすめ』より人事評価制度について書きます。

 成績評価制度の展開にあたっては次のように進めたい。
①等級基準、等級定義の確認をする。
②等級基準書に部門別等級基準書を作成する。【具体的に各部門でどんな仕事ができることが必要かを、仕事名で表示】
③等級基準書及びその期の経営方針、部門方針を基準として評価する。
④まず実績評価を行い『客観的評価』に努める。『成果実績主義』で①~③の基準で評価する。
⑤次に、能力評価を行い、前二回の『実績評価』と『一年間の職務行動』【職務行動記録簿に残す】により、各評価要素ごとに『客観的評価』を行う。
⑥以上のやり方で、④の実績評価、⑤の能力評価のそれぞれに、評価者が合計評価点【素点合計】までをつける。

 以上により、『成果実績主義による客観的評価』を行うことができる。最終的な成績評語【S・A・B・C・D】は、部門間調整、全社調整の上で、標準分布を基準に決定する。
 『成績評価制度』は、『実力主義のカギ』であると同時に、『人材育成のしかけ』でもある。それは、経営方針や部門方針をやりきるところに、実績評価の基準があり、実績評価をふまえて、能力評価が存在するからである。

 実績評価のモノサシ
①個人別実行計画書【その期の重点目標の達成】
②目標達成度評価表【期末棚卸で自己評価】
③実績評価表【目標達成度中心】

 能力評価のモノサシ
①等級基準書【全社等級基準】
②部門別等級基準書【部門別等級基準】
③能力評価表【等級レベルに応じたチェック】

 次回に続きます。

《人事は評価にはじまり、評価に終わる》

 今回から何回かにわたって『新・実力給と業績年俸制のすすめ』からご案内をします。

 実力主義による人事管理を行う場合、『成績評価』が昇格・昇進・昇給・賞与等あらゆる処遇に大きく影響してくる。すなわち、人事制度を運用する場合、その実力主義的な運営が出来るかどうかの『実力主義のカギ』をにぎっているのが、この成績評価制度であるといえる。

 逆の表現をすれば、どのようにすぐれたいい人事制度や賃金制度といわれるものであっても、実力主義の思想で成績評価制度が運営されていなければ、全く絵に描いたモチにすぎなくなる。そこそこのシステムであれば、成績評価制度の運用次第でかなり実力主義化することが可能だともいえる。

 通常中堅中小の民間の会社では成績評価制度として、大きく分けると①実績評価【達成レベル】と、②能力評価【職務レベル】になり、次の用途に活用していくことになる。
実績評価 ⇒ 賞与・昇給・昇格・昇進・異動・教育
能力評価 ⇒     昇給・昇格・昇進・異動・教育

 成績評価制度が実力主義のカギだと述べてきたが、現実の中堅中小企業の制度改善のお手伝いを始めてみると、それまでの『理論』が通用しないことが多くのケースで実証されてきた。特に『能力評価』である。
 長年、『絶対評価』が正しく、『相対評価』は間違いだと教条主義的な思い込みがあった。現実論として、詳細な職務調査・職務分析の困難な中堅中小企業に向けて、絶対評価を説くことは、その評価の不完全性を自ら証明する自己矛盾に陥ることになる。特に、『待遇部長』や『名刺課長』の多い中堅中小企業で『絶対評価』を唱えることは無謀な論理であり、現実妥当な範囲で次のような展開が望ましい。

次回につづく。

《コミュニケーション心得》

今日は、前回の《ホー・レン・ソー》に引き続き《コミュニケーション》のポイントを案内します。

①上司からの伝言や指示は、内容を確認し理解した後、メモをしてすぐに報告をする。
②業務上の話し合いや打合せの際、次の行動が明確になるまで話し合いを切り上げない。
③相手の解釈に任せず、自分の意思表示をはっきり示す。
④常にプロ意識を持って、自ら意思決定をし、自信のないことは、質問や相談をする。ただし同じ質問、相談を繰返さないよう心がける。
⑤担当業務の引き継ぎは、同僚または部下に引き継ぐことを原則とし『とりあえず仕事』は次に取りかかる行動が明確になってない限り引き受けない。また『不良品』も受け取らないし、次の人に渡さない。気づかずに受け取った場合は、元の人に戻す。
⑥他人の言葉や行動を第三者に伝える場合は、※事実と自分の解釈を分けて、はっきりと伝える。※本人の意図を最優先し、誤解の生じないよう伝える。※情報不足により、解釈の相違が生じた場合は、伝えた者が自ら誤解の解消に努める。

『とりあえず仕事』・・・・・『とりあえずやっておいて』に代表される、目的が不明確な仕事。
『不良品』・・・・・とりあえず仕事を含む5W2Hの不明確な仕事。

《ホー・レン・ソー》について

 人事考課シートの考課項目の中に、《ホー・レン・ソー》についての項目を設定し評価を実施している企業もたくさんあることと思いますが、今日はこの《ホー・レン・ソー》について考えてみたいと思います。

 ある方に言わせると、会社内で起きる問題の80%は《ホー・レン・ソー》の欠陥によるものなのだそうですが、ホー・レン・ソーとは【報告・連絡・相談】の頭文字をとって表現したものですね。

 弊社の人事考課項目《ホー・レン・ソー》の着眼点をご案内します。
① 上司・同僚等から指示・依頼され実行したことの結果については、すぐに相手に報告してい るか。
② 業務上で起こった【まずいこと】や【自分の失敗】についてはすぐに上司に報告しているか。
③ 業務上で得た社内外の情報は、関係のあると思われる部署の人間にその都度こまめに報告しているか。
④ 報告・連絡をする場合は、【事実】と【自分の意見】を明確に分けて行っているか。
⑤ 報告・連絡をする場合は、【5W2H1C】をきちんと押さえ、要点を的確に表現した話し方をしているか。
⑥ 指示や質問・相談や依頼をされたことに対しては、迅速に対応し、相手を【イライラ】させないようにしているか。
⑦ 上司・同僚などから指示されたり、頼まれて引き受けたことについては、その内容を正確に理解してから行動しているか。

 《ホー・レン・ソー》の着眼点でした。

《リーダーシップ》について

 今日は、《リーダーシップ》について考えてみたいと思いますが、《リーダーシップ》を分かりやすい言葉で表現すれば、『組織目標の実現に向けて、人や集団をひっぱる力』とします。ここでは、人の集まりを三つのレベルに分けて考えます。※組織レベル⇒集団レベル⇒個人レベルというように。

 少し逸れてしまいますが、まずは各レベルにおける成果の確認をしてみたいと思います。
① 組織レベルの成果
※組織目標が達成されること   ※リソースの有効活用  ※資源の蓄積  ※変化対応
② 集団レベルの成果
※チーム目標が達成されること  ※チームの活性化
③ 個人レベルの成果
※組織に対するオーナーシップ ※行動能力向上

 各レベルが要求する成果の実現に向けて集団を動かす能力がリーダーに求められているのだと思います。

 ※次の質問に答えてみてください。
①組織の方針や重点目標は何ですか?

②リーダーとしての任務・役割・使命は何ですか?

③三年後自分のチームはどのようになっていたらいいですか?

④あなたは、ビジョンをチームの皆に伝えていますか?

 リーダー研修プログラムの内容で、受講者の方々にお聞きする【ビジョンリーダー】というワークの一部です。

《ゆでガエル現象》

 今日は、読売新聞に掲載されていた『編集手帳』からです。

 ゆでガエル現象とという言葉がある。カエルをいきなり熱湯に入れるとビックリして逃げるが、水からゆっくり熱すると気づかずにゆで上がり、死んでしまうとか◆少しずつ進む危機は見過ごされやすく、早く手を打たないと取り返しがつかなくなるという、例え話だ。◆ところが実際にある学者が水を張ったなべにカエルを入れてゆっくり熱したら、お湯が煮える前に暴れだして、外へ飛び出したという。カエルをゆでて確かめるまでもなく、追いだきしながら湯船につかった経験からみて、逃げ出す説に分がありそうだ。・・・・・・・・・・・・・

 たまたま、この記事を読んだ後で【野中郁次郎著 知識創造の経営】を読んでいたところ、同様のことが書いてありました。

 GEの会長ウェルチのマネジメント・スタイルを『ゆでガエル』のメタファーで次のように表現する。『もし、カエルを水の入ったなべの中にいれ、徐々にあたためていったら、カエルはそこに居続け、ついには死んでしまうだろう。でも、カエルを沸騰したお湯の中に入れれば、カエルは飛び出し死なずに済むのである。』ウェルチは、GEがこの【ゆでガエル症候群】に陥らないように、GEのなべ底に火をつけたと評価するのである。・・・・・・・・・・・・・・・・

 コーチングプログラムでは、《快適ゾーンからの脱出》と表現しています。
 いずれにしても、外部環境の変化への的確な対応の大切さを教えてくれます。

《チームアファメーションⅡ》

 前回に引き続き、チームアファメーションの作成について書きたいと思います。

5 【明確なイメージ】
 達成したいことをより鮮明にイメージすればするほど、目標に早く到達します。明確に絞った目標が、それを実現するための情報や機会を提供し、脳の『活性化システム』を稼働させます。明確なイメージは責任を重くし、エネルギーや創造性をさらに高めます。

6 【最終結果志向】
 目標結果と、それに関連する全てに意識を集中し、固定化することはとても重要です。目標の結果をすでに達成されたものとしてイキイキと鮮やかにイメージしましょう。そして、全ての目標は『現在形で』述べてください。これは、潜在意識を活性化するために極めて大切です。

7 【自主的な責任】
 私たちは、目標が個人のものでも、チームや会社のものであっても、目標に対する個人の責任を強めなければなりません。これは目標を実現するために必要な『あり方』であり、責任感を自主的に持つということは、個人の生活や仕事に喜びを与えます。

8 【秘密性】
 私たちの目標は、目標達成を助けてくれる人だけに打ち明けましょう。目標についてしばしば人に話をすると『しなければならない』という強制されている感じを生み出し、それが次のような状況をもたらします。
 ※調子が落ちる  ※だらしなく働く  ※意識的に避ける

9 【継続的な調節】
 ゲシュタルト心理学は、目標を達成すると私たちはエネルギーをなくしてしまう、と説いています。私たちは目標に近づくにつれて、常に視野を広げ新しい目標を立てていかなければいけません。
 ※目標を高める  ※目標を切り替える  ※複数の目標を持つ

10 【書く】
 私たちの目標は『書く』ことが大切です。その効果は、次のとおりです。
① 目標が正確になります。
② 真剣な意図の証拠になります。
③ 目標を想像の世界から現実の世界に導きます。

 以上《チームアファメーション》の作成についてご案内しました。

《チームアファメーション》

 前回は、《クレド》についてふれてみましたが、今日は《クレド》と同じような効果をもつ《チームアファメーション》の作成について、ご案内したいと思います。

 アファメーション作成のステップ
1 【大きなイメージを持つ】
 一つの分野に絞ると効果的ですが、もし私たちが一分野だけにこの方法を使うと歪んだ形で進んでいってしまいます。従って、主要な面を網羅したバランスのとれた色々な分野の《アファメーション》を持つことが重要です。
 方法にこだわらないようにしましょう。結果を生き生きとイメージすれば、実現の道が自然と見つけられます。

2 【秩序と一貫性】
 目の前に鉄の棒があると思って下さい。鉄の棒は、そのままでは棒の中の分子がバラバラの方向を向いているためにただの棒ですが、この棒に一旦電流を流すと分子が一定の方向に並びます。そして磁力を持ちます。『ベクトルを合わせる』こんな表現をします。

3 【アファメーションへの協力】
 独裁政治では、一部の人々が政治を考え、他の人はそれを受け入れるだけした。現在、そのような政治は消えようとしています。
 私たちがチームとして成功するには、チーム員皆の協力と相互支援が必要なのです。その為には、チーム員が関わりたくなるような《ワクワクするアファメーション》にしなければなりません。

4 【建設的なイメージ】
 アファメーションは、私たちの心の中で『建設的で生き生きとしたイメージで見える』ことが極めて重要です。
 私たちは自分がイメージしていること、及びイメージしている方向に向かって動いています。だからこそ、そうあって欲しいことをイメージすることが大切です。《望んでいないことをイメージしてはいけません》

 次回、この続きを書きます。

《クレド》を考える

 今日は、《クレド》について考えてみたいと思います。

 《クレドカード》を使用して組織創りをしている企業として、代表的なところは【リッツカールトン】 【ジョンソン&ジョンソン】でしょうか!
 毎朝クレドカードを社員が唱和することに一体どのような意味があるのでしょうか。一つには、クレドの潜在意識への蓄積があると考えられます。私たちの意識を【顕在意識】と【潜在意識】とに分類した場合に、私たちの行動を支配しているのは【潜在意識】だといわれています。例えば、私たちの『習慣』です。繰り返しにより潜在意識に蓄えられ『習慣』となります。車の運転・ピアノの演奏等は、繰り返し練習することによって自然に無意識に出来るようになります。
 また、『習慣』は無意識であるほど上手にできます。『習慣』を意識すると、かえってうまくいきませんね。漢字の書き順を意識すると書けなくなるのは、そんな理由によるものです。

 《クレドカード》を毎朝繰り返し唱和するということは、自分の潜在意識にクレドを蓄積していることになるのです。結果として、無意識に《クレドカード》に書いてある行動が出来るようになるということです。

 ご参考までにリッツカールトンの《クレドカードⅡ》をご案内します。  抜粋です

※ 私たちはいつも笑顔で対応します
※ 私たちはお客様のご要望を先読みし、最後まで責任をもって対応します
※ 私たちには目標達成に向かってチームワークと楽しい職場を築く役目があります
※ 私たちはお客様一人ひとりのお好みを見つけ、共有し、最高のサービスを提供します