月別アーカイブ: 2016年5月

《ボトムアップ経営》

 組織を動かす際の手法には“トップダウン方式”と“ボトムアップ方式”があります。トップダウン方式は、トップが方針とか目標等を指示・命令といった形で下位階層に落とし込んで、方針の徹底や目標の達成を実現しようとする方法です。

 一方のボトムアップ方式は、下位階層から上位層に提案等の形で上げられたものを承認し実行するといったものです。

 トップダウン方式、ボトムアップ方式のどちらも重要な機能と考えますが、組織が成長し大きくなってくると【ボトムアップ機能】が弱くなってくるように感じます。最も重要な、お客様との接点(ファーストライン)で起きていることが、トップに届いていなかったりします。クレーム・事故・トラブルといったようなことですが、『悪い情報こそ早く』の原則がおざなりになっているといった感じです。

 私はトップが社員の話を聞く機会を持つことが大切だと日頃感じていますので、定期的なトップ面接を勧めています。短い時間で良いと思うので、実施していただきたいものです。普段気がつかなかった【経営課題】が見つかったり、離職率が低下したりと、色々な効果は実感しています。

 野中郁次郎先生は、【ミドルアップダウン】といった組織運営方法について説明をしていますが、関心のある方は『知識創造の経営』日本経済新聞社から出版されていますので、ご参考になさってください。

《介護施設での研修》

 昨日は、次世代リーダー養成のための研修を介護施設で実施しました。医療・福祉法人のお客様が多いので、こうして出向くチャンスがたくさんあります。私としてのメリットは、同業他社の比較が出来ることです。研修を通じて職員の方々と双方向のコミュニケーションを取らせて頂くことで、組織カルチャーの違いを感じることが出来るわけです。

 研修の多くは、ケーススタディーが中心です。人事考課の事例研修、業務改善の事例研修、目標管理の事例研修等々ですが、職員の方々のレベルの高さに驚かされます。“ゆとり世代”などと言われていますが、二十代・三十代に優秀な方々が多いです。職業柄なのか、優しくて・人の話が聴ける集団のように思います。

 体系的にしっかりした教育プログラムで育成していくと、更に良い人材が増えると思うのですが、多くの法人では、そもそも教育プログラムのようなものすらなくて、思いつきで研修実施が繰り返されているように感じます。優れた人材の可能性を秘めた若い世代に、体系的な教育プログラムを投入することで、業界全体の質の向上につながると感じた研修でした。

《職場のトラブル》

 東京都産業労働局がまとめた『平成27年度における労働相談』のポイントです。

 この調査は、都内6か所の労働情報センターにおける平成27年度の労働相談・あっせんの状況についてとりまとめたものですが、そのポイントは以下のとおりです。

1 労働相談件数 51,960件(前年比▲2.2%)
  平成18年度以降、10年連続で5万件を超え、高止まりの状況
2 相談内容は、6年連続で『退職』が最多

3 『職場の嫌がらせ』の相談は引き続き増加している。
  2年連続で2位となり過去最高
4 非正規労働者からの相談が増加

 近年は、『職場の嫌がらせ』の増加傾向が見られていますが、件数で9,282件で前年比2.0%の+となっています。改めてハラスメント対策の実施が求められます。2017年1月にはマタハラ対策が義務化されますので、対応を検討されてはいかがでしょうか!

 【 事 例 】
※上司からの嫌がらせ
 相談者は、医療機関で医療事務に従事していた正規職員。
 相談者は、日頃から院長より些細なことで物を投げつけられたり、机を叩くなどの態度を取られていた。
 相談者は、母子家庭でもあり、勤務を続けてきたが、『お前なんか辞めちまえ』と怒鳴られたため、出勤が困難となって、来所に至った。

 色んな事例があるものですね。
 

 

 

《難しい仕事の受け止め方》

 入社五年目を迎えたS君は、これまでの営業部から、初めて総務部に配属されました。新しい部署では、上司から次々と仕事の指示が出されました。

 一つの仕事が終わらない段階で、『これも頼むよ』『今日中にやっておいてよ』という具合です。最初は素直に聞いていたものの、あまりにも多い仕事量に【担当以外の仕事もあるじゃないか】と、不満が募りました。

 半年ほど過ぎたある日、大学時代の先輩にその不満を伝えました。慰めの言葉を期待していたにもかかわらず、先輩から出た言葉は『良かったね』という意外なものでした。

 『できる人だと認められたから、それだけの仕事が与えられたのだろう。難しい仕事も、パニックになりそうな仕事の量も、喜んで受けてやっていくと、君の能力はさらに開発されるものだよ』

 S君は、その言葉に目が覚めた思いでした。難しいと思えることほど、成長の糧になるのだと受け止めて、向上のチャンスに変えたいものです。

 職場の教養より

《問題解決のプロセス》

 人事考課制度の一環として【目標管理制度】導入のお手伝いをやらせて頂く機会がありますが、運用のプロセスで感じていることについて書きたいと思います。

 まず、タイトルが《問題解決のプロセス》になっているのは、目標管理の運用には“組織の中に問題を発見して解決する能力”が必要だと考えるからです。単に、目標を設定して追い込んでいくような手法では結果も出ないし、組織はどんどん疲弊してしまいます。従って、目標の設定・問題、課題の整理・行動計画・効果の確認・定着化、継続化といったプロセスに基づいて知識やスキルを投入しながら実施する必要があるわけです。

 もう少し具体的に分解すれば、
1現状把握(クレーム・トラブル・在庫量等の問題を具体的にする)
2目標設定(達成イメージを数量で表現する)
3ギャップの確認(現状と達成イメージのギャップの確認)
4行動計画(ギャップを埋めるための実行計画を描く)
5効果の確認(前後の効果を確認する)
6定着化(継続できるように標準化する)

 目標を設定して、そこに意識を向けて進めていくと一定の効果は確認できるのですが、問題は定着・継続がうまくいかないことです。クレーム・事故・トラブルが一定量出続けるということは、このあたりに課題があるのかも知れません。

 大切なことは、小さな変化を起こし続けることだと思います。

 

《能力を磨く》

 “自分には能力がないのではないか”と思いこみ、悩んでしまう人がいます。
 
 しかし、【能力】とは、発揮されてみなければ、あるのかないのか誰にもわからないものです。

 ですから、“自分には能力がある”と思って得意になるのも、“自分には能力がない”と思って自信をなくすのも間違っています。

 まして他人と比較して、“あの人に比べて自分には能力がない”と落胆するのも愚かなことです。

 では、能力を【発揮】していると思われる人は、どのようなタイプでしょう。
※様々な知識を貪欲に吸収し、自分のものにする。
※何事も受け身にならないで、好奇心を持って積極的に行動する。
※未経験のことにも果敢に取り組んで、途中で投げ出さずに継続している。

 このようなタイプの人に共通するのは、『能力は磨いて初めて発揮できるもの』だと考え、能力を磨く努力をしていることでしょう。

 職場の教養より

 人事考課・評価にも共通しますが、視点は【保持能力】ではなくて【発揮能力】をキッチリと評価することですね、