《中途採用の賃金管理》

 中堅・中小企業では、中途採用こそが重要な人材確保の基本ルートです。中途採用の賃金管理を次の6つのグループに区分し合理化を行っています。

①スカウトグループ【モデル賃金 A7】
 企業活動の展開や経営管理上不可欠な幹部人材、企画・営業・技術等のいわゆる戦略人材のグループである。これらの人材は、企業の発展段階によって、求められる質が大きく変わってくる。社内に人材が不在であれば外から採用するしかない。
 海外マーケッターや新技術開発等の専門スタッフもこのグループに入る。現在在職中の者を引き抜いて入社を勧誘する場合に、モデル賃金A7までを適用する。それでも、自社の基準が低くて採用しがたい場合は、“業績加算”か“調整加算”により、賃金水準の確保を図ってやる。ただし、基本給はA7モデルまでで止める。

②準スカウトグループ【モデル賃金 A5B2】
 現実には、このグループの採用がかなり多いと思われる。銀行や取引先、また社員による人材の紹介や打診は多い。この際の適用基準が多くあり、最も難しい。スカウトによる戦略人材の確保と同等の扱いをしても良いと判断される場合には、A5B2モデルまでの適用をすすめている。

③即戦力グループ【モデル賃金 B5】
 支店や営業所の新増設や工場建設などで、強力な即戦力の人材が多く必要な場合に、このグループの適用をすすめている。B5又はB4モデルまで。人材確保が容易な場合には、これより低いC3モデルも検討する。

④準即戦力グループ【モデル賃金 C3】
 鍛えれば、1年以内に即戦力化が見込まれる人材クループである。営業員や技術者の増員を図る場合の適用基準となる。このC3モデルが下限で、いわば保障ラインとなる。可能な限りこのラインを守りローコストになるように努めていく。

⑤素人工グループ【モデル賃金 C1】
 工場の人手として増員を図る場合に適用する基準がこれである。専門技術や営業実績を問うことなく、今後教育して“技能職”としての戦力確保を期待する場合の人材グループである。

⑥その他一般・専門補助グループ【モデル賃金 D1】
 これは、工場の一般作業職、専門補助、スーパーの販売担当など、パートでなく、正社員として採用する場合の適用基準となる。パートから正社員登用する場合も、これが基準となる。これらが、『ローコスト・オペレーション』のカギを握る人材グループとなる。このグループの質を、どれだけ維持できるかが、人事の力であり、会社の力である。