《上司のイメージ》

 読売新聞の“編集手帳”より

 理想の上司を動物にたとえると・・・・・・今年の新入社員を対象に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した意識調査の設問である。

 『ライオン宰相』『鈍牛』などの異名を取った首相もいたことを思えば、あながち荒唐無稽な問いでもないのだろう。

 とはいえ、一番多かった答えが『犬』だと聞くと考え込んでしまう。仮に、自分が上司の立場にあるとして、どう振る舞えば、理想に近づけるのか。強いものに尻尾を振る等々の印象も犬にはある。

 挙げた動物のイメージなどを書くスペースには、『親しみやすい』『情が深い』といった記入があったという。ちなみに二番目以降は、ライオン・ゾウ・猫・・・・の順だった。

 米作家のジャック・ロンドンが著した動物文学の名作『野生の呼び声』が参考になるかも知れない。主人公は、10匹弱の犬ぞり隊で先導犬の地位に就くや、卓越した判断力・行動力・指導力を発揮する。その一方で人間の御者の指揮下にある点は、現実の中間管理職に重ならないでもない。

 終章で主人公は人間の支配する世界を離れ、生きる場を森に移す。それをどう考えるかは、また別のテーマである。

上司や先輩にたくましさや頼もしさを求めるのは、私だけなのでしょうか!