《win:winを考える》

 7つの習慣より

 次の例は、正式な人事考課制度を導入しようとしていた企業である。

 その会社の人事部長は、あるマネージャーへの評価点に不満を持っていた。『このマネージャーの評価はBが妥当なのですが、S評価をつけなくちゃいけない』と彼は言った。S評価は最高レベルの評定であり、昇進の権利がある優秀な社員ということだ。
『なぜなんです?』私は聞いた。
『好成績をあげているからですよ』
『それならS評価をつけてもよいのでは?』
『彼のやり方が問題なんです。人間関係で何かと問題を起こしているトラブルメーカーなんですよ』
『どうやら成果しか眼中にない人物のようですね。そういう人物に最高の評定というのは、確かに納得はいきませんよね。どうですか、彼と話し合って成果だけではなくて、態度の大切さも教えてあげたら!』

 人事部長が言うには、とっくに話はしてみたものの、効果はなかったという。
『それなら、win:win実行協定を結んでみるのはどうでしょうか。評価の基準は成果を半分、残りの半分は部下や同僚からどのように見られているかを基準にする。リーダーシップ・人材育成・チームづくりの視点で評価すればいい』
『そうか、それなら彼も聞く耳を持つだろう』

 多くの場合、問題があるのは人ではなくシステムのほうである。いくら優秀な人材でも、悪いシステムに入れたら悪い結果しか出てこないのである。

※構築時点ではベストの制度であっても、時間の経過・環境の変化によって、いろんな問題が出てきます。定期的なメンテナンスの重要性を私は感じました。