《信玄流人間洞察Ⅱ》

 前回は武田信玄流の人間分析について書きましたが、引き続き対応策について紹介したいと思います。

※人の話をうわの空で聞いている者
 そのまま放っておけば、良い部下も持てないし、また意見する者も出ない。一生懸命に尽くしてもそれに応えてくれないし、また意見をしても身にしみて聞かない。従ってこういう者に対しては、面と向かって直言するような者を脇につけることが必要だ。そうすれば、本人も自分の欠点に気づき、みずから改め、ひとかどの武士に育つはずだ。
※うつむいて人の話を身にしみて聞く者
 そのまま放っておいても立派な武士に育つ。
※うなずいたり、ニコニコしながら話を聞く者
 将来外交の仕事に向いている。調略の責務を与えれば、必ず成功するに違いない。ただ、仕事に成功するとすぐにいい気になる欠点がある。すると、権威高くなって、人に憎まれる可能性があるのでこのへんは注意が必要だ。
※途中で席を立つ者
 臆病か、あるいは心にやましいところがあるものだから、育てる者はその者が素直に、欠点をみずから告白して、気が楽になるようにしてやらなければならない。こういう者に対しては、責めるより温かく包んでやることが必要だ。

 長所に目を向けて、人を活かそうとしている姿勢が受け取れます。