《“あれ”はどれ?》

 日本語では、近くを指して『これ・ここ』と言い、中間のものは『それ・そこ』と言います。遠くのものは『あれ・あそこ』、不確定のものは『どれ・どこ』などと表現します。

 これらの指示語は、最初の一文字をとって≪こそあど言葉≫と呼びます。≪こそあど≫の部分を変えるだけで、様々な距離感を表現できる便利な言葉ですが、使い方によっては、話し手の意図が聞き手に伝わらない場合があります。

 比較的近い対象について『これ・それ』と指し示せば、聞き手はすぐに理解できます。しかし、唐突に『あの件について』『あれはどうした?』と言われると、聞き手はすぐに理解できず、間違いや誤解も生じてきます。

 ≪こそあど言葉≫の中でも、『あれ・あちら・あそこ・あの』など、『あ』を使う際には、前後に説明を加えるなどの配慮が必要でしょう。

 特に重要な事柄を伝える場合には、できる限り、具体的かつ明確な言葉を使って、用件が正しく相手に伝わるよう心がけていきたいものです。

 職場の教養から