《ルールの複雑怪奇》

 働く人々が会社の組織を時と共に重荷に感じるようになっていく理由のひとつには、会社の設立当初に組織の基本要素【ルール・仕組みなど】が設計され、その基本要素がなかなか変わらないというところにあります。組織はまず、その設立時点の環境【労働市場・社会慣行・顧客の嗜好など】に合わせて創ることになるわけですが、時代が進むに従い当然環境は変わってきます。

 消費者の嗜好はスピーディーに変わり、労働者たちの職業意識も変わります。このように外部環境はどんどん変化しているのに、組織や制度はなかなか変わらないのです。

 いったん過去に創られたルールや仕組みは、年を経るごとに捨てにくくなり、とりわけ、そのルールや仕組みが自分たちの成功の源泉だと信じ込んでいたとしたら、捨て去るのは難しいですし、ましてや創業社長や伝説的な人物たちが考えた仕組みであったりすれば、なおさらのこととなるでしょう。

 もちろん環境の変化に対して会社は何もしないわけではないのです。古いルール仕組みをそのまま残しつつ、新しいルールや仕組みが追加的・部分的に付け加えられるといった手法を取ることになるのです。こういったことを繰り返すうちにルールや仕組みが複雑怪奇化していってしまうのです。

 望ましくは、古いルールや仕組みを捨て去ってシンプルな新しいルールや仕組みを創り込むことなのですが、現場に伺うとナカナカ出来ていない現実と出合います。