《クレーム対応へのペーシング》

 前回に引き続き“ペーシング”の利用法を御案内します。

 クレーム対応のペーシングを御紹介します。
 
 クレームにおける『怒り』は“感情”です。まずこの感情にペーシングすることを考えましょう。論理で解決しようとすると【気持ちを無視された状態になり】お客様は余計に腹を立てることとなります。多くの方は、お客様の【怒りの気持ちや感情】にペーシングすることを忘れ、冷静に穏やかに話すことによって、相手をなだめようとします。しかし、これは明らかに間違いです。

 数年前にOB会で上京した際に秋葉原のホテルで、チェックインの為に名前を記入している時に“上記のようなクレーム対応”に出合いました。怒っている理由は分からなかったのですが、隣のお客様が大声でホテルの女性社員に向かって怒鳴っているのです。ホテルの女性社員は“申し訳ありません”と冷静に小さめの声で対応をしていました。お客様の怒りの感情は、ドンドン高まって、最終的には『支配人を呼んで来い』という状況になってしまいました。

 お客様は自分の怒っている気持ちを分からせようとして、さらに声を張り上げ、テンションが上がり、ますます怒りを増幅させることとなります。人は、話を聞いてもらって共感してもらったことで癒されるのです。ですから、怒られたら、お客様の“テンション”にペーシングし、慌ててどもるくらいが良かったのではないでしょうか。

 まず、テンションをお客様と同じように上げ、その後、怒りのトーンが低下するように仕向けることです。怒りのトーンを低下させる為には、途中で口を挟まず“お客様の話を聞くこと”が重要です。トーンが下がって初めて論理的に物事を考えることができ、話し合いのテーブルにつくことができるのです。

 『俺はこんなに怒っているのに、何を冷静にしているのだ!』にならないようにしなれけばいけません。