《品揃えが豊富すぎると逆に売上が下がる》

 シ―ナ・アイエンガー博士が興味深い実験をしています。“ジャム”を使っての調査・実験なのですが、少し紹介すると次のような内容です。

 アメリカのドレーガ―ズというスーパーでは、試食コーナーが準備され同じ商品グループの中から20~50種類ものサンプルを試食出来るようになっていた。店は、圧巻の品揃えでまちがいなく注目を集めていた。だが、その注目は、売上に結びついていただろうか?
 そんなわけで、わたしは店内に自分の試食コーナーを設置して実験をやらせてもらうことになった。選んだ商品はイギリス女王御用達のジャム会社、ウィルキン&サンズのジャム。理由は、種類が豊富で品質が高かったことと、試食しやすく、ほとんどの人が好きか、少なくとも嫌いではないと考えたからだ。
 試食実験は、大きな品揃え【24種類のジャム】と小さな品揃え【6種類のジャム】の二つのグループに分けて数時間ごとに入れ替えを実施しました。試食客が試食したジャムは平均2種類程度だった。試食コーナーに立ち寄った客全員に1週間有効の1ドル割引きのクーポンを渡して購入行動の追跡調査を行った。
 クーポンを集計した結果、驚くべき事実が判明した。。小さな品揃え【6種類のジャム】の試食に立ち寄った客のうち、ジャムを購入したのは30%だったのに比べ、大きな品揃え【24種類のジャム】の試食の場合、実際にジャムを購入したのは、試食客のわずか3%だったのだ。大きな品揃え【24種類のジャム】のほうが、買い物客の注目を集めた。それなのに、実際にジャムを購入した客の人数は、小さな品揃え【6種類のジャム】のほうが、6倍以上も多かったのである。

 興味深い話です。