《人事は評価にはじまり、評価に終わる》

 今回から何回かにわたって『新・実力給と業績年俸制のすすめ』からご案内をします。

 実力主義による人事管理を行う場合、『成績評価』が昇格・昇進・昇給・賞与等あらゆる処遇に大きく影響してくる。すなわち、人事制度を運用する場合、その実力主義的な運営が出来るかどうかの『実力主義のカギ』をにぎっているのが、この成績評価制度であるといえる。

 逆の表現をすれば、どのようにすぐれたいい人事制度や賃金制度といわれるものであっても、実力主義の思想で成績評価制度が運営されていなければ、全く絵に描いたモチにすぎなくなる。そこそこのシステムであれば、成績評価制度の運用次第でかなり実力主義化することが可能だともいえる。

 通常中堅中小の民間の会社では成績評価制度として、大きく分けると①実績評価【達成レベル】と、②能力評価【職務レベル】になり、次の用途に活用していくことになる。
実績評価 ⇒ 賞与・昇給・昇格・昇進・異動・教育
能力評価 ⇒     昇給・昇格・昇進・異動・教育

 成績評価制度が実力主義のカギだと述べてきたが、現実の中堅中小企業の制度改善のお手伝いを始めてみると、それまでの『理論』が通用しないことが多くのケースで実証されてきた。特に『能力評価』である。
 長年、『絶対評価』が正しく、『相対評価』は間違いだと教条主義的な思い込みがあった。現実論として、詳細な職務調査・職務分析の困難な中堅中小企業に向けて、絶対評価を説くことは、その評価の不完全性を自ら証明する自己矛盾に陥ることになる。特に、『待遇部長』や『名刺課長』の多い中堅中小企業で『絶対評価』を唱えることは無謀な論理であり、現実妥当な範囲で次のような展開が望ましい。

次回につづく。