《マネジメント》ドラッカーより

 今から10年位前になると思いますが、ドラッカーの著書マネジメントの内容をA4サイズ4ページにまとめた資料を頂きました。上場会社の社員の方からなのですが、『我社の経営・人事は、この考え方に基づいている』とおっしゃっていました。《もとドラ》のブームになる随分前の話です。

 先週、古い資料を探していたら偶然にこの《マネジメントの資料》が出てきました。10年前読んだ時には、良く理解出来なかったことが今回もう一度読み返してみて色々と勉強になりましたので、少しポイントを書いてみたいと思います。

 《誠実さこそ経営管理者の真価を示すもの》
①人の長所よりも短所にばかり目を向ける人間を管理者に任命すべきでない。
 なぜなら、人のできないことはいつでも正確に知っていても、できることには決して目を向けない人間は、組織の精神を損なってしまうからである。もちろん管理者は、部下の限界をはっきりと把握しておくべきである。しかしこれらの限界を、部下の能力を伸ばすことを妨げているものとして、また部下にとっての挑戦として解釈すべきである。管理者は現実主義者でなければならない。
②『何が正しいのか』よりも『誰が正しいのか』というほうに関心がある人間を、経営管理者に任命すべきでない。
 仕事に必要なことよりも人に重きを置くことは堕落であり、また部下を堕落させる。『誰が正しいのか』を問題にすることは、部下に政治的な術策を弄することを奨励しないまでも、少なくとも無難な道をとって保身をはかることを奨励することになる。また、何よりもまず、部下が間違いをおかしたことがわかっても、すぐさまそれを修正する行動をとらないで、『隠してしまえ』と奨励することになる。
③誠実さよりも知能【インテリジェンス】を重視する人を経営管理者に任命すべきでない。
 そのような人間は成熟していない。その未熟さは直らないのが普通である。
④強力な部下に脅威を感じていることがはっきりしている人を、経営管理者に昇進させるすべきではない。
 そのような人間は弱い人である。
⑤自分自身の仕事に高い基準を設定しない人も、経営管理者に据えるべきでない。
 なぜなら、その人間を経営管理者にした場合、仕事や経営陣の能力を軽蔑する風潮が生まれるからである。

 経営管理者というポストの人材についての《ドラッカー》の視点です。《もしドラ》では、誠実さのことを、真摯であること、と表現していましたね。