《人事考課エラー Ⅲ》

 今日も引き続き人事考課エラーについて書きたいと思います。

※入手容易エラー

 飛行機に乗るのを怖がる人は、自動車を運転するのを怖がる人よりもはるかに多い。飛行機のほうが危険であると思う人が多いからですが、もちろんそんなことはありません。生々しい事例を挙げることを前もって断っておきますが、旅客機が自動車と同じくらい危険だとすると、満員の乗客を乗せたボーイング機が毎週二機墜落し、乗客全員が死亡する事態となります。

 そうならない限り、自動車事故で死亡する確率とは同じにはならないのです。しかし、マスコミが自動車事故よりも航空機事故を大々的に取り上げる為、飛行機のリスクが誇張され、自動車のリスクが過小評価される傾向にあるわけです。

 これは、人は身近にある情報に基づき判断を下す傾向にある、という入手容易エラーの一例を示したものです。感情を呼び覚まされた出来事、特に生々しい印象を受けたもの、あるいは最近起こった出来事は、もっとも鮮明に記憶に残っています。その結果、航空機墜落事故のようなまれな出来事を大げさに捉えてしまいがちです。

 半年に一度の人事考課を行う際に、六か月前の部下の行動よりも、最近の行動を重視する傾向があることも、こうした入手容易エラーによるものです。

※行動観察記録簿を有効活用しましよう。