《人事考課と平均以上効果》

 『平均以上効果』という現象を聞いたことがあるでしょうか!
 たとえば、『あなたは、職場の人たちの中で、自分の協調性はどれくらいの位置にいると思いますか? 平均より上? それとも下?』
という調査をしたとします。
 こうした調査では内心で思っていることをハッキリ回答しない人もいると思います。しかし正直なところを聞き出せたとすれば、『自分は平均以上に協調性がある』と考えている人は、私たちの半数を大きく上回るはずです。七割を超えてもおかしくありません。こんなに多くの人が『平均以上』ということは、現実にはありえません。ここには、客観的情報を歪めてでも、自分自身を肯定的、積極的に認識しようとするシステムが働いています。
 社会心理学者トーマス・ギロピッチは、こう述べています。一般大衆の大半は、自分が平均以上に知能が高く、平均以上に公平であり、平均以下の偏見しかもたず、そして平均以上に自動車の運転がうまいと考えている、と。
 ギロピッチによれば、アメリカの高校生に行った調査では70%が自分の指導力を平均以上と考えており、平均以下と答えたのはわずか2%にすぎません。他人とうまくやっていく能力に至っては、ほとんどすべての高校生が自分は平均以上であると考えており、上位10%以内に入ると考えている高校生は60%もいたのです。大学教授を対象とした調査では、その94%が、自分が同僚よりも有能だと考えていました。
 これを人事考課との関係でみると、『自己評価』と『他者評価』とのギャップを埋めていくプロセスは、大変重要な作業であるということであり、『つもりの自分』を他者からのフィードバックによって、『はた目の自分』として客観的に捉える事は、人事考課制度の大切な一面であると考えます。
 自己評価が高めになる傾向にたいして、他人という鏡に映る自分を冷静に見つめることも時には必要かもしれません。