《人事は評価にはじまり、評価に終わる》Ⅴ

 【成績評価の留意事項】

①標準分布
 定時改定には、各人の等級レベルが適正に反映されることが必要であるが、そのためには、毎年二回行われる実績評価の結果と年一回行われる能力評価の結果を重要な資料として、昇給評価を作成し、それと直接リンクする形で行う。
 最終の昇給評語と昇給号数との関係、及び標準分布率は次の通りとする。

 昇給 評語    昇給 号数    標準分布
    S          7         5%
    A          6        20%
    B          5        55%
    C          4        15%
    D          3         5%

②指定席化・既得権化
 成績評価を行う場合、陥りやすい一番大きな問題点として、『指定席化』『既得権化』がある。これは、Aの成績をもらう人は固定しており、本人の実績にぶれがあってもAをもらうような場合をいう。一方、Cをいつももらう人は、かなり努力して実績を上げても中々認めてもらえない傾向が生じかねない。
 このような指定席化や既得権化をなくすには、昇格時にふり出し(平均のB)にもどすという原則運用が必要になる。

③集中化・分散化
 評価者による評価癖として、分散集中の誤差、甘辛の誤差を生じることがあるが、これらは、成績評価の評価基準書をできるだけ客観的なものにし、評価者によるバラつきをなくすことが重要。評価者への指導による甘辛の傾向を是正する努力よりも、評価基準そのものの客観化が合理的で、現実的であろう。

④本人へのフィードバック
 本人への評価結果のフィードバックは、特にC・Dをとった人に対する面談指導が優先されるべきで、これらの人に対するモラルアップ、改善指導が上司たる評価者の大切な任務となる。

 次回に続く。