《人事考課》よりハロー効果

 今日も引き続き人事考課エラーの《ハロー効果》について書いてみたいと思います。

 職務における日常の勤務ぶりや成績を科学的に評価しようという試みは、人事考課の問題として長年研究がおこなわれてきた。ここでは、人間が人間を評価する事態において発生してくる『ひずみ』の問題を考察しよう。

 評価のひずみの問題には、寛大化傾向(実際よりも甘くつける)、集中化傾向(多数の者を普通であると評価しすぎる傾向)などがあるが、もっとも留意しなければならないものに、《ハロー効果》がある。この誤りは、全般的な影響によって、個々の特性の評定をしてしまうことを意味する。例えば、監督者がある従業員の全般的な価値について好ましくないと判断したとすると、実際にはその従業員の二、三の特徴について好ましい点があっても、それを好ましいと評価しなくなってしまうような効果をいう。当然逆のケースもある。

 このような評価の正確性を阻害する《ハロー効果》の防止策としては、一般的に評価者のトレーニングや評価方法の改良が必要となる。例えば、個々の特性を分離して評価できるように訓練したり、定義や観察が容易にできにくい特性はハロー効果があらわれやすいから、そのような特性を評価する時は、その排除に意図的に努力をはらうようにすることなどがあげられる。

 特定個人の評価の際に、全評価項目を連続的に評価しないで、ひとつの評価項目について被考課者全員の評価を終わらせて、次の評価項目の評価に移るようにしたり、各特性についての尺度上の優劣の位置を変えることなどが効果的である。

 いずれにしても、全人格的存在である人間を評価するときには、格別の配慮をはらう必要がある。

 三十年前の教科書からですが、当時は良く理解できませんでしたけど、今は少し分かるようになってきました。