《国民栄誉賞》

 今日は、ミスターと松井選手の国民栄誉賞授与の日ですけど、この国民栄誉賞の第1号は王さんなんですね。そこで王さんの回想録を紹介したいと思います。

『努力しても報われないことがあるだろうか。たとえ結果に結びつかなくても、努力したということが必ずや生きてくるのではないだろうか。それでも報われないとしたら、それはまだ、努力とはいえないのではないだろうか』
 
 王さんは、昭和34年に読売ジャイアンツに入団。チームの主軸として活躍し、引退するまでの22年間に、868本のホームランを放った。『世界の本塁打王』と称賛されている。
 実は、そんな王さんも入団後3年間は『三振王』とヤジられるほど低迷が続く選手だった。
 どん底で迎えた4年目、劇的に生まれ変わった。いきなりホームランを連発するようになり、その年の本塁打王に輝いている。
 一本足打法を考案した荒川コーチは、次のようにコメントしている。
『朝4時起床、寒稽古に始まり、素振り、その日の試合をやって、また素振り、終わるのが深夜0時ということはたくさんあったし、朝までバットを振らせ続けるのもしばしば。これは遠征先でもそうだった。それを見た川上監督がたいそう驚いたのをよく覚えている。それに何が大事かって! 毎日やることが大切だった。努力というものは毎日の積み重ねだから、けっして休んではいけないんですよ』 

 私の記憶の中にもあるのですが、昭和46年9月15日の巨人対阪神戦。(何度か再放送されています)
 王さんは、江夏投手に翻弄され、3打席連続三振を喫してしまった。9回の表4打席目が回ってきた。フルカウントからの内閣ストレートを渾身の力を込めてたたいた。打球はライトのラッキーゾーンへ飛込み、逆転のホームランとなった。世界記録868本のホームランの中で、目に涙を浮かべてダイヤモンドを回ったのは、この一本だけだったという。
『長期スランプのどん底で打ったホームラン。だからよけいに嬉しかった。涙が出るのも当然だった。“努力”すれば必ず報われるんだ、ということが嬉しかった』
 王さんの言葉には、ひたすら努力に徹した人の重みがある。